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舞台『現代能楽集Ⅰ AOI/KOMACHI』

昨2006年11月のベニサン・ピット――麻実れいさん演じる緑川夫人、実は怪盗黒蜥蜴(くろとかげ)が舞台から客席に降り、ロングドレスの裾を優雅に跳ね上げながら一歩、また一歩とゆっくり目の前を通り過ぎたとき、その気品と魅力に最前列の私は恍惚至福の感情に包みこまれてしまいました(TPT『黒蜥蜴』)。
ひんぱんに(といっても多くて月10本くらいですが)舞台演劇を観るようになって約半年、仲間もなく、最初はチケットの取り方もわからずすべてが手探りでした。
それがいま、染色工場跡にできた160席ほどの小スペースという、ふつうの人はあまり足を運ばない先鋭的な演劇空間にようやく辿り着き、至宝の存在である大女優の演技を膝が触れ合うほどの至近距離で体験できるところまでこられました。
黒蜥蜴は豪華なダイヤモンドの奪還を図りますが、麻実さんこそが生きている宝石なのです。
「死んだ石」(←劇中のセリフより)である宝石とはちがい、生きて呼吸している麻実さんの演技に触れられるのは、私自身もまた今この時この場所に生きて存在しているからこそです。
おおげさかもしれませんが、このときはっきり「私は幸せだ」と感じました。
その麻実さんが現代版・六条御息所を演じる、しかも相手役は『トーチソングトリロジー』(2007年11月、PARCO劇場)で不思議な情欲感を放って印象的だった渡辺博巳さんとあって、躍るような期待を抱いて劇場に向かいました。


財団法人せたがや文化財団
『現代能楽集Ⅰ AOI/KOMACHI』
世田谷パブリックシアター

作・演出:川村 毅

2007年4月11日水曜日~15日日曜日
全席指定 A席6,000円 B席4,000円

べきら観劇日:2007年4月11日水曜日(初日)夜の部
上演時間:2時間15分(15分間の休憩含む)

・公演情報:
http://www.setagaya-ac.or.jp/sept/jouhou/06-2-4-65.html
※麻実さんの下になってあおむけに横たわっているのが渡辺さん。

・2003年版(シアタートラムにて)公演情報:
http://www.setagaya-ac.or.jp/sept/jouhou/03-2-4-33.html

【物販】
戯曲『AOI/KOMACHI』
川村 毅氏著作
劇場理論誌『SPT(Setagaya Public Theatre)』など
プログラム販売なし
※川村 毅氏コメントとプロフィール、世田谷パブリックシアター芸術監督野村萬斎氏「ご挨拶」、出演者プロフィール(写真なし)、スタッフ一覧など記載のA3二つ折りパンフレット無料配布


川村 毅(著)
『AOI/KOMACHI』
論創社
2003年11月発行
1,575円
AOI KOMACHI







↑物販で購入しました。ベージュに見える部分が「腰巻」になっていて、白基調の本体のほとんどを覆っている斬新で洒落たブックデザインです(造本:宗利淳一)。


↓ネタバレありレポ
能『葵上』をベースとする『AOI』が第1幕、15分間の休憩をはさんで『卒塔婆小町』をベースとした『KOMACHI』が第2幕に上演されました。
麻実さんと渡辺さんが出演した『AOI』はカーテンコールがないまま休憩時間に入ってしまいましたが、『KOMACHI』終演後に1幕、2幕の俳優さん達8人がいっしょにカーテンコールに登場してくれたのが嬉しかったです。
しかも、麻実さんは1幕ラストの扮装(←これも素敵でしたが)ではなく、劇中で通した服とヘアスタイルにもどって登場してくれました。
大女優なのに、このサービス精神がまた嬉しいです。

『AOI』の設定はなんと現代の美容室。
麻実さんは、渡辺さん演じるカリスマ美容師の光(ひかる)を指名するお金持ちの奥様「六条さん」。
べきらは2階席だったため芝居が遠く感じられ、麻実さんがなかなか登場してくれないので気持ちが入り込めないでいたのですが、真っ白な舞台中央に黒いコート・真っ直ぐなロングヘアの「六条さん」が現れたとたんに一挙に引き込まれました。
麻実さんが登場すると、遠くに見えていた舞台がクローズアップされて間近で観ているように感じられます。
嫉妬に狂う年上の女を、ときにいじらしさや哀れさを垣間見せながら演じる麻実さんの余裕とエレガントさに酔いました。
女性の髪の毛をコレクションして自慰行為を行う腺病質の光は、植物的な色気を漂わせる渡辺さんの雰囲気がよく活かされていました。
きわどいセリフと、六条が光を押し倒すようにして舞台上を転げまわるラブシーンが大胆(白い床を這う麻実さんの黒ストッキング・黒パンプスの足が色っぽい……♪)ですが、湿っぽさがなく洋画を見ているような感覚になるのは、先月3月にアメリカ公演をこなしてのちの日本公演だからかもしれません。
ラストに六条が目の覚めるような真紅のスーツに着替えて登場したのは、能で六条御息所の怨霊が着る緋の長袴を連想させました。

途中入場の客が着席済みの人の視界を妨げるのを防ぐため、開演時に着席のない席の指定を解除する「指定席解除」は評価できるシステムだとおもいました。

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