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舞台『梅沢武生劇団 梅沢富美男 前川清特別公演』

私・べきらの2007年最初の観劇は、アメリカの劇作家エドワード・オールビー原作の不条理劇『動物園物語』になるはずでしたが、ひょんなご縁から明治座特別新春公演に足を運ぶことになり、歌あり踊りあり芝居ありの賑々しい初芝居となりました。

どんなご縁かと申しますと、身内がおつきあいさせていただいているある会社からご招待をいただいたのです。身内に付き従ってありがたく便乗させてもらうことにしました。「大衆演劇」は初めてなのですが、なんだか楽しそうでわくわくします。

この日は1階から3階まで1,400席に及ぶ明治座を全館まるごと押さえた貸切公演でした。

「来賓」待遇のおかげで前からひと桁台の良席(A席@10,000円相当)をご用意いただいたうえに食堂での食事(お酒付き♪)、美味しいお菓子のおみやげまでお手配いただくという贅沢な「お芝居見物」を楽しんだ一日となりました。

このように企業が接待や従業員慰安を目的として演劇や歌謡公演にお金を出すというのは昔から伝統的に行われていて、娯楽興行の世界では大口安定需要として今も重要な営業対象になっているものとおもわれます。

今回ご招待いただいた会社は創業50年というだけあって、観客(従業員さんとそのご家族+招待客)の9割方を40歳台以上の中高年層が占め、会場内はとても落ち着いた和やかな雰囲気です。

こんなことでもないかぎり劇場という場所に足を運ぶことなどない方もいらっしゃるとおもわれ、そういう方々にとっても劇場側にとっても貴重な観劇機会の創出の場を提供しているといえるでしょう。

創作側から見れば、ほかのどれでもないこの公演が観たい!と焦点を定めてやってくる観客ではない点が難しいかもしれませんが、真っ白の客に向き合うのも新鮮な刺激と捉えれば悪いことではないはずです。

ロビーでも客席でも、あちらこちらで「今年もよろしく」という挨拶が交わされ、我が身内も顔見知りの方に声をかけたりかけられたり、その後ろで私も一緒に頭を下げます。いわば「社交」と一体になった観劇ですね。

ふだんはもっぱら自分自身の興味にのみ従い、単独行動のため劇場への行き帰りを含めて誰とも一言も口をきかないことが多いしそれが快適でもあるのですが、たまにはこういう芝居の見方をするのも気分が変わってよいなとおもいました。



明治座新春特別公演
『梅沢武生劇団 梅沢富美男 前川清特別公演』
2007年1月2日火曜日~26日金曜日
明治座
A席10,000円、B席5,000円

べきら観劇日:2007年1月上旬
上演時間約4時間(30分休憩を2回含む)

公演情報(明治座公式サイトより):
http://www.meijiza.co.jp/info/2007/01/main.html

【グッズ販売】
プログラム1,000円
(ほぼB4版大という大型サイズです。カラーの過去舞台写真が満載、前川清さんと梅沢富美男さんが公演中で歌う新曲の歌詞も載っています)
↑おふたりのCD、おふたりのオリジナル食品(前川さんはお饅頭、梅沢さんはお豆)、おふたりのバスタオル、トートバッグ、Tシャツ、……数え切れないほど多種類のオリジナルグッズが販売されていました。
公演中にも武生さんと富美男さんがそれぞれ熱心に商品の紹介をします。
「休憩時間はごはんやトイレのためじゃないんですよ!お買い物のためにあるんですよ!」には場内大爆笑です。
気取らずなりふり構わずの「大衆演劇テイスト」がいっそ小気味よく感じられました。

ネタバレありレポ↓
内容は5部構成になっています。誰にでも理解しやすい芝居、聞き覚えのある歌謡曲、和洋韓中混合路線に宙乗りあり怪獣登場のグローバル舞踊と、昭和のデパートの大食堂のようになんでもありの盛りだくさんさでした。

ウケてもウケなくても、観客がついてこようとこまいとおかまいなしに爆進していくエネルギーが「これぞ大衆演劇!」というかんじです。

一、 昼夜別狂言
<昼の部>大笑い!初春江戸の華
<夜の部>初笑い!清・富美男の艶姿女形競演録
私が観たときは「江戸の華」のほうが演じられました。歌舞伎の『文七元結』のパロディーです。NHKの人気テレビ番組『ふるさと皆様劇場』の雰囲気でアドリブ満載のお笑い話に仕立てられています。「こんないいかげんな劇団」「台本なんかあってないようなもの」「皆さん、ちゃんとした芝居が観たかったらどうぞほかの劇場へいらしてください」などなど開き直り発言続出ですが、素朴な前川さんとコミカルな富美男さんの絶妙コンビが何を言ってもお客さんは笑い飛ばしてくれます。
構成・演出・振り付けのすべてを手がける座長・武生さんが後の「口上」で解説したところによりますと、芝居の大筋は座長が決めて明確な台本はないそうで、このような手法を「口立(くちだて)」というのだそうです。

二、 前川清・梅沢富美男 歌のビッグショー
このときが客席がもっとも盛り上がりました。やはり生で聴くプロの歌は迫力があります。歌いながら舞台の端まで進み出て、お客さんと目線を合わせながら手を振ってくれる前川さんのサービスに、奥様方やお年寄りは大喜びで手を振り返します。歌謡曲はあまり聴かないべきらですが、じかに聴く前川さんの『そして神戸』には感動しました。
富美男さんはMCをつとめながら自身の新曲を1曲と、なぜかジュリーの『勝手にしやがれ』を歌いました。Ah~♪というあのサビの部分ではお客さん全員に両手を挙げさせて左右に振らせる「参加型」です。「暗いから見えないだろうとおもったら大間違いですよ!」とこのパートにくると客電が煌々と全開になります。べきらもちゃんと参加しました。ラストではその場でサインした帽子を客席に投げてくれるサービス付きでした。

三、 座長 梅沢武生 口上
足を傷めて正座が無理ということで椅子に座っての口上でしたが、↑一部のお芝居ではまったく気が付きませんでした。明治座という大舞台のなかでも正月公演に声がかかるのは役者にとって特別な名誉だそうで、劇団を支えた亡き母上の悲願が実ったことに万感の思いを込めての口上でした。四部・五部の舞踊での衣裳や「怪獣」調達の裏話も面白かったです。振り付けも座長が決めますが、今回の舞踊を貫くテーマは「特にありません、とにかく楽しんでください」とのことでした(笑)

四、 新春 華の舞踊絵巻
お待ちかね、富美男さんの妖艶な女形をようやく堪能できる部です。べきらはこのパートをもっとも楽しみました。オープニングの武生・富美男兄弟ご両人による『冥土の飛脚』梅川・忠兵衛の恋の逃避行はテレビでも何度か見た記憶がありますが、ほんものはやはり綺麗ですね……しっとりとした情感が日本人の心の琴線を揺さぶります。「下町の玉三郎」として人気を博した富美男さん以降、大衆演劇界にはたくさんの女形スターが登場しましたが、富美男さんのこの包み込むような菩薩性は別格のような気がします。口元に浮かぶ艶然とした微笑みは、俗世のいやなことを束の間忘れさせてくれるようです。↑芝居パートでのなさけな~い三枚目との対比も絶妙です。目玉は座長が韓国で衣裳を特注してきたというチャングム風舞踊で、前川さんが宮廷風衣裳に身を包んだ女形スタイルで客席通路を歩いて喝采を浴びました。そのほか、仏陀+男女混合吉原花魁群舞などまさに統一感お構いなしに次から次へと演目が繰り広げられます。富美男さんを別にしてべきらが注目したのはミニスカート姿の若手男優陣によるセクシーなマドンナ風洋舞で、もっともダンスの上手なセンター長身の彼がTバックのお○りをチラ見せ披露したのに大ウケしてしまったのですが、客席の大半はついてこられなかったようで微妙な雰囲気に……ポーズを決めたままセリに乗って下がっていく彼らに、ひとり力を込めて拍手を贈ったべきらでした。

五、 豪華絢爛!怪獣勢揃い 龍神の舞
↑四部の舞踊から切れ目なく怒涛のごとくなだれこんでいよいよ大団円のスペクタクル編です。まずはスッポン(花道の舞台寄りにある切り穴)から紅白歌合戦想起・豪華天女風衣裳に羽まで生えた富美男さんが登場、そのまま足は地を離れ、アルカイックスマイルを下界に振りまきながら宙乗り状態でふわりふわりと空を舞います。最後は三階席に設けられた輿(?)のなかにしずしずとお隠れになられました。次に地上の花道からは、座長が「サンゼンマンエンかかった」と口上で説明していた身長1メートル大のチンパンジー(ゴリラだったかしら?)のロボットが二足歩行でギクシャクと牽く荷車みたいなのに乗って前川さん(なぜか鎧の武将姿)が登場、ここでも場内が微妙な雰囲気になりますが進行は躊躇することなく、舞台幅いっぱいの滝の書割の中央から座長曰く「ロクセンマンエンかかった」という巨大な龍が顔を出し、背中にその座長(なぜか中国の皇帝スタイル)を乗せて口から盛大に白いスモークを吐き出します。客席には大量の紙吹雪が舞い、威勢のいい音楽が大音量で鳴り響き、よくわからないうちに「それでは皆様、さよ~なら~♪」と総出の劇団員さん達が手を振るなか緞帳が降りて公演終了となったのでした。

闇鍋状態のあの手この手でとにかくどうとしてでも楽しませてみせる!という確信的な大衆演劇精神に圧倒された4時間でした。

楽しかった~、という想いといささかの疲労感を抱きつつ、身内とともにおみやげの紙袋をほくほくと提げながら(細かいことですが、ひとりひとつずつくださいました)お正月の明治座を後にしたのでした。

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