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舞台『傀儡KUGUTSU~忘れ得ぬ面影の総司』

今年2006年夏の盛りに初めて観劇、感動してファンクラブにも入ってしまった劇団め組の11月公演です。

劇団ファンクラブ「MegumiClub」入会時に「お気に入り」に指名した役者さんからの挨拶状が開演日の11月1日(水)に合わせて到着、本文だけでなく当方の住所と名前も直筆で書かれているのには感動しました(ご本人のプリクラも……舞台でのきりっとした表情とは打って変わったほんわか笑顔が可愛い♪)。

め組初観劇だった8月公演『Assassin(アサシン)彰義隊後日譚』の紀伊国屋サザンシアター(座席数468)とはがらりと趣きを変えて、小学校の教室くらいしかない下北沢「劇」小劇場(座席数130)での、沖田総司、土方歳三、近藤勇の3人の心理を描写した濃密な台詞(せりふ)劇でした。

新撰組とは、自分達とはなんだったのか、――土方が五稜郭で最期を遂げる前の冬、すでに死亡した総司と勇の霊と対話するという設定が新鮮でした。
とにかく空間が狭いので、――幅7メートル少々、奥行き3メートル少々(劇小劇場平面図より)――夏公演のようなダイナミックな殺陣は無理ですが、すぐ傍らで発せられる役者さんの声がまるで対話をしているかのように親密で、感情が真っ直ぐにこちらに入り込んできます。
べきらの席は前から2番目で、目の前1~2メートルの場所に立った沖田総司役・新宮乙矢(しんぐう・おとや)さんの目にみるみる涙が盛り上がり、それが彼の頬を伝い落ちるときの つ、という音までもが聞こえたような気がして、おもわず不覚のもらい泣きをしそうになりました(熱心なファンのすすり泣きは、劇冒頭から客席のあちらこちらで聞こえていました)。

パンフレットに記載された演出・与儀英一氏「ご挨拶」によれば、同劇団の定番である幕末「新撰組」シリーズも、今回がラストであり集大成になるとのことです(チラシの表面上部にも“THE LAST 新撰組”と印刷されていました)。
べきらにとっては初の「め組版・新撰組シリーズ」だったのですが(『Assassin』は同じ幕末ものでも「彰義隊」でしたから)、それが同時にシリーズ最後の作品になってしまったのが少々残念です。
※↓劇団公式サイトの過去公演リスト、およびダイジェスト動画で過去シリーズを見ることができます。


劇団め組
『傀儡KUGUTSU~忘れ得ぬ面影の総司』
2006年11月1日(水)~5日(日)全8公演
下北沢「劇」小劇場
全席指定4,000円

べきら観劇日:
2006年11月4日(土)昼の部
上演時間1時間45分(休憩なし)

終演後、ロビーで舞台写真販売あり(@150円、約50種類)

・公演情報:
http://www.yogipro.co.jp/works/hannosyou/kugutsu.html

・劇団公式サイト:
http://www.yogipro.co.jp/index.shtml

・シアターガイド サイトによる公演情報:
http://www.theaterguide.co.jp/search_result/paid/detail.php?id=004567&key=6476170c3b9a40de618e19b0bf82c69b&PHPSESSID=eb6c342a9491b9c49c3b20974868cd12
・「劇」小劇場について(本多劇場公式サイト):
http://www.honda-geki.com/index.html

・インターネットテレビ・世田谷Webテレビのサイトで主役3人の役者さんが舞台宣伝のために出演した回を視聴できます(無料):
http://233.fiw-web.net/webtv/contents.html
※「2006年10月12日放送分を見る」をクリック。

・べきらふぁいる 舞台『Assassin(アサシン)彰義隊後日譚』レポ(2006-11-05):




ネタバレありレポ↓


隆盛をきわめた新撰組が崩壊し、ひとり江戸の潜伏先で病のため衰弱する沖田総司は、死を間近にして、これまで命じられるままに実行してきた数々の殺人を悔いる。
自分は結局、近藤先生と土方さんの操り人形だったのか――その想いは総司の死後、蝦夷の土方歳三のもとに精霊「雪の精」となって現れ、切腹した近藤勇の霊も呼び寄せる。
土方と近藤もまた、幕府崩壊によって自分達の存在が空しく消滅していくことを嘆く。
自分達は懸命に生きた、まるで「恋をしていた」かのように――脚本・合馬百香氏の熱い言葉が彼らの真情を語ります。
やがて土方も戦火に倒れ、遠のく意識のなかで歳三が見たものは、春を告げる白い鈴蘭の花――まるであの「雪の精」のような。

劇団の看板役者、沖田総司役の新宮乙矢(しんぐう・おとや)さんの衣裳が夢幻的でとても素敵でした。
生前の総司は地紋入りの黒一色、「雪の精」になってからはやはり地紋入りの白(まったくの無地ではなく、銀色の小さな雲の柄が飛んでいたような……)のきものなのですが、両方とも裾を長く引いた「お引き摺り」で、総司の霊性と清廉なイメージを象徴していました。
とくに、漆黒のセットに浮き上がった白いマーメイドラインの臈たけた立ち姿は、この世のものならぬぞっとするような美しさでした。
↑シアターガイド情報の紹介文によれば「雪女」のイメージだそうで、男性でもこれほど清らかで霊的な美しさを表せるのかと息を呑んでしまいました(「雪の精」姿の新宮さんの画像は↑シアターガイド情報、劇団公演情報にありあります)。
袖は振袖、帯の幅も女帯並みに広く、うろこ模様を片流しのように長く垂れさせた結び方が情感あふれる後姿を作り出します。
限りなく女装に近いのですが、ヘアスタイルは現代の短髪、メイクもそれほどでもないので、全体の印象はぎりぎりのところで「男」を保っていて、その限界一歩手前のアンバランス感にどきどきさせられてしまいます。
が、べきらとしては一線踏み越えて頬にかかる垂髪・唇に紅を引いた「天草四郎」な新宮さんを見せていただきたいと秘かに願うものの、骨太な男っぽさを前面に出してきた劇団としては、このようなアブナい要望を聞き入れてくださるわけにはなかなかいかないことでしょうね。
また一方、立ち回りを演じるにはこの衣裳は役者さんにかなりの負担をかけているものと想像するのですが、長い裾と袂、揺れる帯を巧みにさばきながら相手役や観客と密接した空間で巧みに大刀を操る新宮さんの動きの鋭さ、思い切りのよさには舌を巻く想いでした。

劇団を担うもうひとりのスター、藤原習作(ふじわら・しゅうさく)さん演じる土方歳三は洋装に刀を指した「明治スタイル」で、アンドレ的雰囲気の襟元の白いボウ、長いブーツが気品があって素敵だったのですが、藤原さんのきもの姿――とくに着流しの粋な色っぽさ――に岡惚れのべきらにはやや満たされない想いが残ります。
でも、その代わり今回は藤原さんの艶のある美声をすぐ近くで聞けたことで納得することにいたしました。

終演後、衣裳もメイクもそのままの役者さんがロビーに出て観客を見送るのは小劇場演劇でよくある光景ですが、主役クラスの人気者は顔を出さないケースが多いのに、め組の場合は藤原さんも新宮さんも普通に出てきてくれるところが懐(ふところ)の深さですね(しかも、撮影自由!)。
「劇」小劇場のロビーは受付スペースだけでいっぱいいっぱいなので、役者さん達は衣裳のまま下北沢の道路に出、ファンに囲まれて声援を受けます。
道を行く人達がとくに珍しがるでもなく、普通に通り過ぎていくのが演劇の町・下北沢らしいですね。
こういう状況ではまったくの意気地なしになってしまうべきらは、声をかけることも撮影させてもらうこともできず、丁寧に優しそうに女性ファンに対応している指名役者さんを視界の端にちらりと収めただけで、そそくさとその場を立ち去ってしまったのでした(○○さん、直筆の挨拶状ありがとう、ちゃんと観にきましたよ……)。

男達の心理が主軸の芝居でしたが、死の直前の総司に寄り添う黒猫・環(たまき)役の矢島未来(やしま・みき)さんの妖艶さと知性、男達の霊を導く「白鷺の精」役の高橋佐織(たかはし・さおり)さんと清水祐美子(しみず・ゆみこ)さんの優美さがあってこそ、彼らの想いが鮮明に浮き彫りになっていました。
役を脱した男優さん達は、ニコニコして普通の人のかんじですが、女優さんはなおオーラを発し続けていて、下北沢の路上に妖精が舞い降りたようでした。


次回公演は待望の『鬼夜叉』再演!
室町幕府三代将軍足利義満(演・藤原さん)と、美貌の能役者世阿弥(演・新宮さん)との物語です。
今年2006年3月に初演されましたが、め組初観劇が8月だったべきらは惜しくも見逃してしまったのです。
過去公演記録や再演チラシ、ファンの方々によるウェブサイトへの書き込みなどで、ぜひ観たい!とおもいました。
でも、来年2007年3月末まで4ヵ月以上も待たなくてはならないとは、なんとも待ち遠しいことです。
その空白を埋めるためにも、『Assassin彰義隊後日譚』のDVD販売の実現を劇団に熱烈に要望いたします(べきらが『Assassin』を観劇した日、撮影用ムービーカメラが会場に入っていました)。

・『鬼夜叉』初演時の情報(シアターガイド サイトより):
http://www.theaterguide.co.jp/search_result/paid/detail.php?id=002948&key=fa152c3e5604c60ce35fca48322dbe1e&PHPSESSID=e5be7f3cfd58041808c97c985f18505b

・『鬼夜叉』再演情報は、↑劇団公式サイトのトップページにあるチラシ画像またはタイトルをクリックで読むことができます(ないしは、「Works―公演新作情報」からも入れます)。



<追記> 2006-11-23
申し込んだ舞台写真が劇団から届きました。
新宮さんの「雪の精」の白いきものはやはり無地ではなく、ヱ霞(えがすみ)のような模様が帯下の身頃いっぱいに入っていました(金か銀かは判別つかず)。
「白鷺の精」の女優さんふたりが白無垢(しろむく)なので、対比をつけるためにも柄が入っていたほうが立体感が出てよかったとおもいます。
また、(「雪の精」の)裏地と半襟が冷ややかな水色だったのは覚えているのですが、白い鼻緒の草履の前ツボ(足の親指と人差し指ではさむ、鼻緒と台をつなぐ部分)にもお揃いの色が使われていたのには気付きませんでした。
こんな小さなところにも、衣裳担当の方々の役への想いが反映されていたのですね。

写真はいいですね。
どんなに近くで観たとしても、やはりこうして改めて発見することがありますし、なによりあの場面、この場面の記憶が鮮やかに蘇ります。

そして、写真と同時に脚本の内容も、ぜひ繰り返して反芻したいのです。
先日観劇した世田谷パブリックシアター『鵺/NUE』の終演後トークで、作・演出の気鋭・宮沢章夫氏も失われていく劇言葉を形にして留めることの重要性を指摘されていましたが、演劇文化の継承のためだけでなく、感動をもらった観客がその幸せを心のなかに持ち続けて生きていくために、ぜひとも台本の公開(もちろん、有料で)を実現していただきたいとおもいます(観に行った芝居の会場で台本が販売されているときは、必ず買い求めることにしています)。

劇団め組の公演はまだ2作品しか知らない「新参者」のべきらですが、新参なりにもっとも想い入れのあるシーンは、『Assassin彰義隊後日譚』の、彰義隊士・時雨(新宮さん)が花魁・篠懸(八島さん)に彼女の亡き恋人のことを思い出させる場面です。
まもなく官軍が攻めてくる吉原から避難しようとしない血気の篠懸に、時雨が静かに問いかけます――
その人は、お前を好きだと言ってくれたかい?――
そのときの、その人の顔を覚えているかい?――
そのときの声は覚えているかい?――(←残念ながら正確な記憶ではありません)
あい、あい、と花魁言葉でいちいちうなづいていた篠懸は、ついに時雨の胸に泣き崩れます。
生きてほしい、という時雨の悲願が切るように伝わるこのシーンは、購入した舞台写真で今も振り返ることができるのですが、ぜひとも台本も販売していただくことで脚本家の珠玉の言葉を正しく手元に留めたいと願うのです。

演出・与儀英一氏のブログ『週刊YOGIDAS』に、このシーンの画像がupされています↓
・週刊YOGIDAS お知らせ(2006-08-11):
http://yogi.blog24.fc2.com/blog-entry-69.html
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