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『めぐるめく』

4人姉妹のお話です。
事故で11年間昏睡状態にあった長女が突然目覚めるところから物語がはじまります。
ベストセラー作家の次女。
男性の出入りがはげしく、現在の相手とも争いが絶えないOLの三女。
雀荘の店員をしながら長女の息子を引き取って育ててきた四女。
劇団主宰で作・演出の桑原裕子さんがこの四女・ロミを演じます。
やさぐれた態度にかくれた繊細な内面とのギャップが素敵です。
私は『甘い丘』初演(2007年/シアタートラム)で初めてKAKUTAと出会って魅了されました。

長姉の見舞いにも行かず、ばらばらに暮らしていたこの3人姉妹が姉の覚醒によってふたたびまとまります。
11年前の事故で亡くなった夫の墓参りに、長女は息子とともに妹達を誘います。
かつてロミとつきあっていたらしい夫の弟、長女に献身的につくす介護士も同行、どたばたながらも楽しい旅です。
そして長女はふたたび昏睡状態に陥ってしまいます。
しかし今度は、三人の妹達は長女の病室に通い、それぞれのやり方で眠り続ける姉に気持ちを寄せるようになるのです。
3人の人生にも別れと出会いが訪れますが、ものいわぬ姉の存在が彼女達のよりどころになります。

4人姉妹の話ですが、実は母とひとり娘の物語のような気もします。
桑原さんによる当日パンフレットの文章からの発想です。
作家の次女も、なんだかんだで相手と愛し合っている三女も、実は四女ロミすなわち作者・桑原さんの分身のようにおもえます。
次女の文学賞受賞をめぐるどきどきぶりに、桑原さんが岸田戯曲賞の最終候補にノミネートされたことを思い出したりしました。
そして、長女は母。
そういえば姉妹の両親の話はほとんど登場しませんでした。
みていないようで実はみえている、不思議で大きなちからを持った存在への、作家の信頼をかんじます。

私の妄想はさらに飛躍して、劇作家が「創作」に寄せるおもいなのかな、とも。
これは戯曲本『甘い丘』に収載された「平田オリザ×桑原裕子特別対談」を読んでかんじたことです。
1994年に上演された平田さんの作・演出作品『転校生』に当時女子高生だった桑原さんが出演したそうです。
それがきっかけとなって、桑原さんは脚本執筆のアドバイスを平田さんに相談するようになっていたのですね。
対談中でも桑原さんの迷いや疑問に対して、平田さんが一刀で切り下ろすあざやかな答えを次々に出していきます。
自分の同世代だけではなくほかの世代にも共感してもらえること、自己模倣といわれようがいいとおもうものを書くこと、何十年後に海外で上演されるような事態まで視野に入れることなど。
これまでずっと一緒にいたいとおしいもの(育ててきた甥っ子、慣れ親しんだ担当編集者)と別れ、新たな段階に踏み出すこと(出産、義兄の弟とよりをもどす、もしかして結婚)をなにか大きくて大切な存在(眠る姉)に報告ないしは決意表明する、というようなことだったのかもしれないなあ、などと。
その存在とはたとえば創作の神様みたいなもの、あるいは平田さん、あるいは……
劇作家・桑原さんにもっと飛躍してもっと面白いものを書いてほしいという私の願望がこんなことをおもわせたのかもしれません。

劇団員、客演ともに魅力があり、姉妹ひとりひとりと関わる男達とのエピソードも楽しく積みあげられて飽きません。
これから小劇場演劇を観たいという人には最適の作品だとおもいます。
過激な表現や乱暴な演出はなく、かといって無難なテレビドラマ的ではない演劇ならではの醍醐味があります。



KAKUTA
『めぐるめく』
2010年5月21金曜日~30日日曜日
シアタートラム
公演サイト
CoRich情報

作・演出:桑原裕子

全席指定
前売 3,800円
当日 4,000円
学生 3,300円(前売・当日とも)
サービスデー 3,500円(前売・当日とも)

べきら観劇日:
2010年5月22日土曜日14:00~

上演時間:2時間(休憩なし)

【物販】
過去公演DVD
戯曲本『甘い丘』1,200円

【当日パンフレット】
B5/4P



喫煙情報など


大音量で音楽をかけたりいつまでも真っ暗な状態だったり、客席になにかが飛んできたりといったことはありませんが、喫煙シーンはあります(少しだけ)。
無臭たばこではありません。
全席指定なので逃げようがありませんが、苦手な方はいちおうお心構えを。

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