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『銀幕心中』

日本映画黄金時代の昭和30年代、謎の急死をとげた天才映画監督の通夜の席での映画関係者達の思惑を描くコメディー風味の作品です。
公演コピーは「報復絶倒の大騒動!」ですがそれほどバタバタでもなく、せつない恋と男の友情、映画への愛が伝わりました。
作家・横田雄紀氏によれば10年ぶり2度目の再演とのことです(←公演チラシより)。

5人の男優のそれぞれの魅力がよかったです。
監督役牧野達哉さんは狂気性とこの世ならぬ感がぴったり、映画俳優役野村貴浩さんも艶とユーモア感が楽しめ、脚本家役鈴木勇太さんは純情猪突感が清新でした。
鈴木さんは『音もなく しぐれ降る 晩秋にて 候』での弾むようなスピード感が印象に残っています。
回を重ねてセリフが安定すればひたむき感が際立つとおもいます。
技師長役南雲則治さんのアク強く斜に構えた雰囲気は絶滅した「昭和の男」が復活したようでした。
わたしとしましては、今回は映画会社専務役田中新一さんが好きでした。
採算重視の中年重役ですので5人のなかでは女性のモテ度がもっとも低そうですが、かっぷくのいい胡坐姿のなかに映画仲間への親愛、亡き監督との友情がみえかくれします。
監督や脚本家の言に耳を傾けているときの、苦笑しつつあきれつつ、でも根本的に(彼らのことが)好きなんだな、とわかるそらした目線がよかったです。

劇団め組の野村貴浩さんが『サクラソウ』(2006年12月/ザムザ阿佐谷)に客演したのをきっかけにスパイラルを毎公演観るようになったのは「静かで丁寧な感情の描き方」と「手づくりの美的感覚」にほかにはない魅力を感じたからでした。
その意味で、絶叫的勢いが特色の今回の戯曲はわたしが知るスパイラルのなかでは異色作です。
勢いだけに終わらなかったのは、紅一点の女優を演じた秋葉舞滝子さんが秘めたちからと想いの底深さがあったからだと感じます。

美的な面では、舞台下手に置かれた「ある物」の迫力がこの年代の映画屋さん達の世界であることを雄弁に示していました(←どこでみつけてきたのでしょう……)。
この「物」への終盤の心憎い演出には眼を見張りました。
それから、舞台最前面の畳のへりの「側面」がきれいです。
本来みえないところですが(敷き詰めて隠れてしまう)、通夜の席という地味なつくりのなかで控えめな華やぎが加わりました。
いっぽう、野村さんと牧野さんの衣裳の丈は残念でした。
牧野さんは設定から考えるとぎりぎり許容範囲ですが、野村さんは歌舞伎風味の役者設定ですので(長身対応の男もの入手困難、対丈ゆえの調整不可は重々承知しつつ)、衣裳手当てにもうひとがんばり欲しかったとおもいます。
時代劇ベテランの野村さんのこと、やりづらさを感じさせずに所作を決めていましたが。
全体として、「スパイラル美」を味わいたいわたしにはやや物足りなさが残りました。
もっとも、わたしが観た回はクライマックスの装置にトラブルがあり、今回の舞台の本来の美しさを味わい損ねているのかもしれません。
そのあたりは、DVDの完成を楽しみに待つことにしましょう。



SPIRAL MOON
the 22nd sesseion
第20回下北沢演劇祭参加作品
『銀幕心中』
2010年2月3日水曜日~7日日曜日
下北沢「劇」小劇場
公演サイト
CoRich情報(←トラックバック送信、反映されず)


作:横田雄紀
演出:秋葉舞滝子

全席指定
前売 3,500円
当日 3,800円

べきら観劇日:
2010年2月4日木曜日14:00~

上演時間(わたしの時計で):1時間40分(休憩なし)

【物販】
特製Tシャツ 半袖・長袖各1着2,000円(税込)
『銀幕心中』DVD予約 3,000円+送料600円
過去公演DVD、上演台本
※『銀幕心中』の上演台本販売はありませんでした(←残念)。

【当日パンフレット】
A5/4P
出演者表
スタッフ表
協力先一覧
出演者公演情報
秋葉舞滝子演出情報
SPIRAL MOON今年の予定
※2010年11月は待望の『夜のジオラマ』再演(初演は2007年11月/「劇」小劇場)、今回はぜひ秋葉さんに出演してほしいです。

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