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舞台『コースト・オブ・ユートピア―ユートピアの岸へ』その2

3日間正味9時間の観劇を無事に完走できて安心しています。
最終日のⅢ部のカーテンコールでは、舞台上の俳優陣からも客席に拍手が贈られ、ねぎらいのエールを交換できたのが心憎い演出でした。
マスコミ報道によれば、Bunkamuraによる9時間を超える長時間公演の実績としては『グリークス』(2000年/シアターコクーン)があるとのことですが、当時は未だ演劇とは無縁だった私としましては今回が初めての経験です。

無事に完走できたとなると現金なもので、1日通し公演ならばいっそうの達成感だったことだろうな、との羨望を抱いてしまうのでした。
この秋のもうひとつの9時間公演であるところの新国立劇場『ヘンリー六世』(鵜山 仁演出)はすでに3日間「バラ」でチケットを手配してしまいましたので、来年2010年3月の彩の国シェイクスピアシリーズ第22弾『ヘンリー六世』(蜷川幸雄演出)=6時間1日通し公演はぜひ、ということでこのほど財団先行予約(←要・メンバーズ登録)に勢いで(!)申し込んでしまいました。
同公演は基本的に前編・後編あわせての1日通し公演の販売のみで、通し券に残席がある場合に限り2010年1月下旬より前編券・後編券の発売を予定とのことです。
最近までは「来年1月まで待ってバラ券を買えたら行こう……」とおもっていたのですが、今回の『コースト~』で自信がつき、俄然意欲が沸騰しました次第です。

全作を観終えたいま、到達はむずかしいとはわかっていても、なお高いところを目指すのをやめない、そのことの崇高さに全身が鼓舞されるおもいでいます。
なにごとも短時間に効率よく成果をあげることがよしとされる世の中にあって、未知の時代と人生を共に体験するという演劇ならではの醍醐味を、丁寧にじっくりと腰をすえて掴み取ることのできた得がたい経験でした。



舞台『コースト・オブ・ユートピア―ユートピアの岸へ』
日本経済新聞に『コースト・オブ・ユートピア』記事



過去と思索〈2〉
過去と思索〈2〉



過去と思索〈3〉
過去と思索〈3〉









ネタバレあり


Ⅲ部では、客席と舞台との一体感をもっとも強烈に実感しました。
バクーニンがゲルツェンを相手に「民衆を根源的に是認する」考えを説くシーンでは、旗を掲げた大勢の男女が客席に溶け込むように通路に佇み、そのあいだをバクーニンが歩きながら、ときに男の肩に手をかけながら舞台中央のゲルツェンに語り続けたとき、客席は「民衆」となり、コクーン全体がバクーニンの思考のなかの情景となってゲルツェンただひとりがそこに存在していたようなかんじでした。

墓地のシーンでは、私達観客は雨に濡れる黒い土になったかのようでした。
咲き乱れる白い花々のあいだから、私達は道ならぬ恋に身を投じるゲルツェンとナターシャの抱擁を無言で見守ったのでした。
秒単位のタイミングで客席通路に小道具の花を設置し、シーン終了と同時に音もなく撤収して消滅してしまうスタッフの仕事ぶりには恐れ入りました。

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