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舞台『かもめ』

演劇集団円の養成機関である円・演劇研究所で学んでいる研究生による演習発表会です。
名作『かもめ』に挑む若い人達を楽しみに、仕事帰りの田原町に急ぎました。
私はTBSとホリプロ主催で2008年6月に赤坂ACTシアターで上演されたこちらで初めて『かもめ』を観ました。
新装の華やかな劇場と豪華キャストが思い出に残っていますが、稽古場を兼ねる小さな劇場で演じられる『かもめ』は、チェーホフの絶望感を真っ直ぐに届けてくれたようにおもいます。
アルカージナ(主人公トレープレフの母、女優)、ニーナ(トレープレフの恋人、女優志望)、マーシャ(主人公の家の支配人の娘)の3役がA、B、Cのトリプルキャストで、それ以外の役はシングルキャストです。
私はCキャストを観劇しました。

酒井絢子さんのアルカージナがよかったです。
ニーナ役でもいいくらい可愛いのに、25歳の息子の母である女性の腰のすわったどっしり感、女優の華と権高さがしっかり出ていて、実際は年齢差があまりないはずのトレープレフ役山崎 亮さんとのシーンがだんだんほんとうの親子にみえるようになりました。
年下の恋人トリゴーリンの気持ちをとりもどそうとするシーンも、絡めるように男を縛っていく過程に凄みがありました。
ニーナ役千葉沙織さんは妖精のようにはかなげな前半と、苦渋をなめたあとに自分の道を見出した覚悟の様子との対比が鮮明でした。
マーシャ役永瀬友梨さんは卑屈さと片思いの一途さがしっかり伝わりました。
冒頭のマーシャの第一声で、ステージ円が暗いロシアの田舎屋敷にぱっと変わりました。
近松高丞さん、貴族的でヤサオトコな雰囲気がいかにも都会の作家というかんじで、田舎娘のニーナが夢中になってしまうのに納得です。
主役山崎さんは声の強さが印象的で、作品世界を支える頼もしい大黒柱でした。

ひとつの装置が庭の仮舞台や湖のテラス、室内の床にと変化するのが面白かったです。
転換時は完全な暗転ではなく、上手と下手の袖からほんのり光が入ってスタッフワークを浮かび上がらせるのがよかったです。
転換のときに装置を回転させたり位置を変えるたくさんの黒衣のスタッフもどうやら研究生のようにみえます。
光の奥の舞台袖では、キャストも裏方もみんなで懸命に舞台を進めているのだろうな、と想像しました。

セリフが○$▲#☆?になってしまったり、人物を伝えるのがつらそうな人がいたりもするのですが、次の発表会もぜひ観たいとおもわせる魅力のある舞台でした。
客席には出演していない研究生らしい人達もいたのですが、「おはようございます」「おはよう」と挨拶をするのも話をするのも小声でひそやかにしていたのに好感を持ちました。
500円であろうと公開された有料「公」演である、というけじめが周知されているのがわかります。
演技という技術だけではなく、社会人としての基礎も養成されているのが嬉しい気持ちになった演習発表会公演でした。



円・演劇研究所 33期専攻科 演習発表会
『かもめ』
2009年7月27日月曜日~8月2日日曜日(A、B、Cのトリプルキャスト@3ステージ=全9ステージ)
ステージ円
演劇集団円


作:アントン・チェーホフ
訳:神西 清
演出:早船 聡

日時指定・自由席
500円
※円の会会員は招待

べきら観劇日:
2009年7月29日水曜日19:00~(Cキャスト初日)

上演時間:2時間5分(休憩なし)

【物販】
未確認

【当日パンフレット】
B5/4P
・配役表
・早船氏による挨拶文
・33期専攻科代表、大場結香さん(Bキャストのマーシャ)による挨拶文
・キャスト顔写真
・アントン・チェーホフ紹介
・スタッフ表
・協力先一覧
・上演スケジュール
※早船氏の「初めてチェーホフを読んだ時、これのどこが面白いのか?と思った。」に深く同意してしまいした。
正直なところ今でもその気持ちはあるのですが、……その割合は今回の公演でずいぶんと減少しました。

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