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舞台『新選組』

プロデュース公演や客演が数多く行われている小劇場演劇界で、劇団め組は「自家製」を貫いている稀少な存在です。
作品内容は変わってもチームワークのよさや家族的団結感が感じられ、その安心感とあたたかみが1年間に3回の上演に欠かさず通いたくなる大きな要因となっています。
「時代劇のシリアスおとこ芝居」という長らく続いた路線に昨2008年は変化が現れ、コメディ、女性もの、自衛隊ものと異色な内容が続きました。
2009年の第1作は久しぶりに本流にもどっての『新選組』です。
今回は、藤原習作さん・新宮乙矢さんというこれまでの2大看板体制を刷新、近藤勇・土方歳三・沖田総司のメインキャストに若手劇団員を抜擢した若々しくて清新な舞台になりました。
習作さん・新宮さんのカップルに魅了されたのがきっかけでめ組ファンになった私としては淋しい気もしないではありませんでしたが、その代わりに今回はふたりがともに悪役を演じるというひそかに待ち望んでいた夢がかない、二重の新鮮さを楽しむことができました。

め組では学校演劇を数年経験してから本公演に出演という道筋を辿るので、若手といえども演技力はしっかりしています。
主役の入木純一さんは、自分の生きる道を求める沖田総司の真っ直ぐな魅力がよく出ていました。
繊細な雰囲気の入木さんですが、演技には骨太感があってエネルギーが瞬間的に発光するような強さが出るのが魅力です。
やはりおとなしい感じがする井上真一さんの土方歳三は、後半に向かって顔がどんどん凄みを帯びていったのがよかったです。
重厚感のある秋本一樹さんは近藤勇にぴったりのイメージでしたが、恋愛シーンでの初々しさは若手ならではでした。

当日パンフレットに記載された演出・与儀英一氏の言葉――新選組の魅力は「貧乏くじの美学」――はまさにその通りだとおもいます。
効率よく、おいしいところだけを掠めとることをよしとする価値観には、どこか悲しく卑しいかんじがします。
殺戮を正当化することは無論できませんが、舞台上に蘇った彼らをみていると、自己を克服する一途さを持ち得たことが羨ましくおもえるのです。



劇団め組
『新選組』
2009年3月25日水曜日~29日日曜日(全9ステージ)
SPACE107
公演情報
CoRich情報

作:合馬百香
演出:与儀英一

全席指定
4,800円

べきら観劇日:
2009年3月25日水曜日19:00~(初日)
<↓観劇日追記>
2009年3月26日木曜日14:00~
2009年3月28日土曜日13:00~
2009年3月29日日曜日17:00~(千秋楽)

上演時間:2時間5分(休憩なし)

【物販】
舞台写真@150円×50種
後日郵送/送料無料

【当日パンフレット】
A4/4Pカラー
※次回公演予定は、
・『信長』
2009年7月31日金曜日~8月4日火曜日
吉祥寺シアター
・『岡田以蔵』
2009年11月4日水曜日~11月15日日曜日
下北沢「劇」小劇場
とのことです。
め組公式サイトによれば、『信長』は2005年、『岡田以蔵』は2001年と2004年に新宮乙矢さんのタイトルロールで上演されています。
今回の『新選組』が2002年に上演された漢字ちがいの『新撰組』の再演だとすると、これで今年2009年のめ組公演3作はすべて再演(または三演)ということになりました。
(2006年8月の『ASSASSIN』でめ組に出会った私は3作すべてが初見です。)
挑戦の年だった昨2008年を経て、ふたたび本流にもどってくれるのはファンとして嬉しいことです。
今年の夏と秋に上演される2009年版の両作品が新宮さん主演を踏襲するかどうかは不明ですが、再演(三演)ならではの厚みのある内容を期待しています。
また、当日パンフレットとともに客演2本の申込用紙が入っていました。
『新選組』公演期間中のロビーで申込を受け付けています。
支払い方法は、観劇日の当日精算とのことです。
・『アメノキオク…』(A、Bのダブルキャスト公演)
新宮さん出演(A、B両組に出演)
2009年5月1日金曜日~4日月曜日
下北沢・シアター711
全席指定 3,500円
・『ハナウタ日和』
新宮さん、野村さん出演
2009年5月27日水曜日~6月7日月曜日
下北沢・シアター711
全席指定 4,500円
project DREAMERサイトに詳細情報がupされています。



ネタバレありレポ


め組十八番の剣殺陣はさすがの迫力とスピード感でした。
先日期待して観に行った『ムサシ』の剣殺陣があまりにも少量だったので落胆していた分をすっかり取り戻すことができました。
小劇場演劇での剣殺陣というと、アニメやゲームにみられる派手な効果音や超人的な動きを取り入れたエンタテインメイント系が数多いですが、装飾に頼らず技そのものでみせるめ組の正攻でストイックな殺陣が私は大好きです。
今回の公演では、居合いの心得がある入木さんと、隻眼の新宮さん平山五郎との冒頭の斬り合いが白眉でした(Prologue 文久3年(1863)2月9日 本庄宿)。
昨2008年3月の『Warriors』でもふたりは対戦していますがあのときは木刀でしたので、やはり刀を切り結ぶシーンには心が躍ります。
キレ、スピード、華やかさが圧巻でした。
習作さんと新宮さんのラストの死闘が見事だった『ASSASSIN 彰義隊後日譚』(2006年8月)の再演をぜひ新宮・入木組でお願いしたいです。
その新宮さんの平山は黙って睨みつけるだけで立ちのぼる殺気が透明の炎のように怖ろしく、かとおもえば一転して岡田以蔵役では子犬のような哀感があふれていて、対比の鮮やかさに驚きました。
平山、岡田のほかのもうひとつの隠れた役も喜ばせてくれました(なにしろ斬る相手が……)。
私がもっともお慕いする習作さんも、魔王のような芹沢鴨(終演後の初日舞台挨拶でMCの野村貴浩さんに「メイク濃い!」とひかれていました、笑)と天真爛漫な坂本龍馬の別人ぶりに唸りました。

女優陣では、木下好栄さんが「蛹が蝶に」の艶(あで)やかな変身を遂げていたのにたまげてしまいました。
天然系の持ち味から丁々発止のリズム感あるユーモア担当へのスッテプアップがよかったです。
娘役だとおもっていた武田久美子さんのしっとりした女らしさにも目を見張りました。
菅原貴志さん演じる山南敬助との「傘」のシーンでは、にじみ出る情感に降る雨のしずくも時間も一瞬静止したようでした。
高橋佐織さんのお梅は、借金取立てでみせる度胸の裏の悲しさがせつなかったです。
習作さんの芹沢とお梅が寄り添う姿が最後にみられたのは幸せでした。
(でも、入木さん総司が習作さん龍馬の手を握るシーンにはなぜか妬けてしまう不思議なファン心理なのでした、呵呵)

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