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舞台『狂気の路地』

シェイクスピア全作品のなかでもっとも残酷といわれる『タイタス・アンドロニカス』と現代日本の裏社会の抗争を融合させ、時代とところを問わず暴力を志向せずにはいられない人間の本性を描いた作品です。
一昨年2006年4月に彩の国さいたま芸術劇場大ホールで観た蜷川幸雄氏演出の『タイタス~』(公演情報)は、――まさに坂を駆けあがりはじめの小栗さんのエアロンが初々しかったです――高潔な白の空間に血糊がわりの赤い糸が映える舞台の綺麗さはたしかに綺麗ながら、ローマ帝国に滅ぼされたゴート族の女王タモーラが怨嗟の応酬の果ての宴にそれとは知らずに……という結末のあまりの惨たらしさに観劇したその日は食べものがのどを通らなくなってしまったほどでした(仕方がないのでお酒だけ飲んでました)。
今回はそこまでの残酷さは描かれることなく、代わって日本古来の伝説を加味することによって同類を殺すという人の「業」のひとつの説明が展開されていました。

タモーラに相当する役の伊東知香さんのスケールの大きい女王性と哀切感が印象深かったです。
ダンス表現が多く入るなかで、ラスト近くでほんとうの姿を現したときの伊東さんのパフォーマンスが圧巻でした。
この劇場でのこのかたちは私は初見の「エンド・ステージ」型も、舞台世界との一体感があってとてもよかったです。

劇団め組稲垣由美さんの客演舞台ということでチケットをとりました。
これまではもっぱら時代劇のきもの姿――今年夏のめ組公演『LADY椿 鹿鳴館狂詩曲』(2008年8月/スペース107/公演情報)ではバッスルスタイルのドレスでしたけれど――しかみたことがありませんでしたので、いまどきの洋服姿でストレートに自己を発散する女性はたいへん新鮮でした。
め組での稲垣さんといえば、再演版『戊辰残照』(2007年8月/紀伊国屋サザンシアター/公演情報)で主人公・大庭修理に秘かな想いを寄せながら会津戦争のさなかに命を散らせた西郷細布子の清純さが忘れられないのですが、今回の役で表現されたのも行き着くところは同じくひたむきに男を愛しぬく女の姿だったとおもいます。



ピープルシアター
第47回公演
『狂気の路地』
2008年10月29日水曜日~11月3日月曜日(全9ステージ)
東京芸術劇場小ホール1

作・演出:森井 睦

日時指定、自由席
前売3,800円
当日4,000円
中・高生2.500円
シニア(65歳以上)3,000円
リピーター2,000円
※中・高生、シニア、リピーター対象の各割引は劇団扱いのみ

べきら観劇日:
2008年10月31日金曜日19:00~

上演時間:1時間55分(休憩なし)

【物販】
上演台本1,000円
過去公演DVD

【当日パンフレット】
B5/8P
森井 睦氏あいさつ:劣化する魂
中本信幸氏:ピープルシアター賛
キャスト表
「狂気の路地」人物相関図
土倉タイスケ:森井戯曲のキーワード「路地・辻・プラットホーム」
劇団員最新情報
ピープルシアター2009年度上演予定



シェイクスピア全集 12 タイタス・アンドロニカス (ちくま文庫)










<追記 2008-11-05>
ネタバレありレポ


巨大組織・華紅(はなくれない)組の若頭で自らは百目鬼(どうめき)組を率いる「鬼頭」(二宮 聡さん)がローマ帝国の武将・タイタスにあたる人物です。
稲垣さんはその百目鬼組組員「小角」(野口仁志さん)のオンナ、タンポポという役でした。
小柄で甘えん坊なところのある小角をときに母親のようにかばう、なかなかしっかり者の女性です。
この「組員とそのオンナ」という若いカップルが小角=タンポポ組を含めて4組登場します。
↓コメントをお寄せいただいたジュンコさんこと鈴木絢子さんはそのうちのひとり、アンズでした。
組の名前が百目鬼、そして組員の男達の名前も全員が「鬼」に関連しているのをみてもわかるとおり、彼らがはるか昔(飛鳥時代?)の日本で時の朝廷に滅ぼされた鬼の一族の子孫というのが森井戯曲のオリジナルな設定でした。
タンポポやアンズ達もまた鬼一族の女で、未来に希望を抱いて生きようとするのですが、結局は愛する男達の抗争に巻き込まれてしまうのがあわれでした。
華紅組三代目組長に就任したのが百目鬼組と覇を競う草壁組の組長(=新ローマ皇帝サターナイナス、タモーラの夫)であり、かつて鬼達を滅ぼした朝廷勢力の末裔であるというように『タイタス~』、鬼伝説、現代の地下世界という三層構造がユニークな物語でした。

いつもなら舞台になっている場所に客席を作り、通常の客席とのあいだに挟まれるようにして舞台が作られていました。
このような対面式舞台ではどうしてもセリフが聞き取りづらかったり俳優の背中しかみえなかったりとなりがちですが、よく考えられた動きと配置でそのあたりの不満はほとんど感じませんでした。
客席内の通路、廊下に通じるドアもフルに活用して客席全体にまんべんなく行き届く舞台世界が繰り広げられ、アクションとダンスも満載で迫力と臨場感を楽しむことができました。
そのぶん、裏の移動ときっかけに費やす俳優陣の肉体的・精神的エネルギーはたいへんなものだったろうとおもいます。

ピープルシアター公式サイト(↑にリンク)のTOPに舞台写真が掲載されています。
め組公式サイト内の稲垣さんのブログこちらに関連記事と画像があります。

コメント

こんにちは。
劇団ピープルシアターの鈴木絢子と申します。

ブログに感想を書いていただき、非常にうれしいです。
これからもお客様に何か感じていただけるような作品を創っていきます。
ヨロシクお願いします。
ご来場アリガトウございました。

>鈴木絢子さん
ようこそお越しくださいました。
『狂気の路地』、スピード感と迫力が素晴らしかったです。
鈴木さんは「蒼き鬼の乙女達」のひとり、アンズを演じられた方ですね。
アンズ、タンポポ達4人がベールで顔を覆って踊るダンスが神秘的で素敵でした。
つたないブログをお読みいただき、こちらこそとても嬉しいです。
鈴木さんのキュートなブログも楽しく拝読しました。
これからもどうぞお元気でご活躍くださいね。
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