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私が初めてベニサン・ピットで観た公演は、ちょうど2年前の2006年7月、流山児★事務所『BURAIKAN(無頼漢)』でした。
小劇場演劇というものを観始めてすぐの頃で、おっかなびっくりだったのを覚えています。
染物工場を改装した劇場は外観も中もいかにも古めかしく殺風景で、でもその独特の雰囲気にすぐ惹かれて何度も足を運ぶようになります。
たくさんの公演のどれを観ようか迷ったとき、劇場がベニサンだからというのが決め手になることもよくありました。
劇団桟敷童子『海猫街』、THE・ガジラ『かげろふ人』などの強烈な魅力を持った作品に出会ったのもここでした。
新しい劇場がきれいだけれどうすっぺらくみえるのは、時間の堆積が作り上げる「陰」のようなものが存在しないからだとおもうのです。
ベニサンにはそこかしこにこの「陰」があって、そこに数え切れないほどの色彩が沈んでいるように感じられます。
そのなかの色が上演作品ごとに部分的に溶け出してきて、作品世界に奥行きや深みを与えてくれるような気がするのです。

まもなくこのベニサンを本拠地とするTPT(シアター・プロジェクト・東京)に遭遇、演劇の世界が一挙に広がりました。
実験的な海外作品はここでしか触れ得ないもので、世界にはこんなにいろいろなお芝居があるのかと毎回わくわくしながら通ったものでした。
TPTの作品はベニサンのあの雰囲気と不可分だとおもいますので、来年2009年1月の劇場閉鎖以降の活動がどうなるのか、とても気になります。

私にとってのベニサンの魅力はもうひとつ、あの江東区森下の町並みにあります。
派手さも特徴もない町並みですが、皇居の東側に生まれ育った私にはとてもなつかしい、「城東」の雰囲気が感じられるのです。
道路からすぐ住まいや店になっている作り、家業と住居の混在具合、淡々と生活している「なんということもなさ加減」……あと、窓に網戸がない!(新しいお宅にはあるかもしれませんが。)
東京は広いので、皇居を中心として「城西」「城北」「城南」では微妙に町の雰囲気が異なります。
もっと大きく分けると「東」と「西」は文化圏が別れます。
経済的発展は今や西に集中し、東はかつての勢いがありません。
小劇場演劇も新宿、下北沢など西高東低です。
その意味で、城東の貴重な輝きであるベニサン・ピットが消えるのは東の人間として惜しくてたまりません。
取り壊し後に新しい劇場や稽古場が建設されるのかどうか、今のところ情報は発見できていませんが、せっかくこの場所に集まった演劇人のエネルギーが雲散してしまわないよう、必要ならば募金など支援システムの発動を期待したいです。
TPTにはTPTフレンズという会員組織がありますので、ここを基地として今後なんらかの発信があるのかどうか、フレンズ会員としては協力を心積もりしつつ待ちたいとおもいます。

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