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舞台『俺を縛れ!』

面白早口言葉のようなセリフが機銃掃射のように雨あられと繰り出され、アクション、歌、ダンスとあれもこれも盛り込んで疾走する寄せ鍋のようなあふれるエンターテイメント、若い作家の真っ直ぐな心の叫び、そしてなにより今まさに小劇場界での人気度、注目度とも急上昇中のその熱気と勢いがわくわくと心躍らせてくれました。

私が柿喰う客を観るのは、今年2008年1月の第12回公演『サバンナの掟』(シアタートラム/公演情報/べきらによるレポ→)以来これで2度目になります。
『サバンナ~』も娯楽性満点の群像劇でしたが、もっとも惹かれたのは作者・中屋敷法仁氏(作、演出にして劇団主宰/中屋敷氏のブログ)の主張でした。
小手先の少子高齢化対策など粉砕するような、人類の行く末に対する視点がとても新鮮でした。
PPT(ポストパフォーマンストーク/2008年1月6日日曜日14:00の回終演後)に登場した中屋敷主宰が意外に(失礼)ソフトな二枚目だったのも収穫で、それやこれやで今回の『俺を縛れ!』も半ばは主宰がアフタートークに登場するのを目当てにチケットを取ったのでした(笑)
劇団サイトによれば主宰は俳優でもあるのですが、『サバンナ~』に続いて今回も作・演出のみかとおもっていたところいつのまにかチラシのキャスト欄に中屋敷氏の名前が載っていて、実際に俳優としての姿を舞台で観ることができたのも幸いでした。
集団を統率しつつ創造する人として、昇り坂を歩きつつある氏が今もっとも感じていることが、ラストの主人公・瀬戸際切羽詰丸(せとぎわ・せっぱつまる)の叫びにこめられていると感じました。

制作・田中沙織さんの可憐なメイド服姿での前説が眼福でした(田中さんのブログ)。
キリンバズウカ『飛ぶ痛み』(2008年4月/王子小劇場/公演情報/べきらによるレポ→)での女優ぶりが好評だった田中さんは、当日パンフレットによれば次はタカハ劇団『ボクコネ』(2008年8月14日~17日/駅前劇場)に出演するとのことです。
いつもながらの心あたたまる前説、はっきりとよく通る声で観客の誘導をする姿は活き活きして魅力に満ちていました。



柿喰う客
第13回公演
『俺を縛れ!』
2008年6月18日水曜日~30日月曜日(17+追加1=全18ステージ)
王子小劇場
佐藤佐吉演劇祭2008参加公演

『俺を縛れ!』公式ブログ

作・演出:中屋敷法仁

日時指定全席自由
受付開始は開演の60分前、開場は開演の30分前
前売2,500円
当日2,800円
※学生券、団体券、中高生券、早期割引、昼ギャザなど各種割引制度あり。
「昼ギャザ」とは平日昼の部(今公演では6月26日木曜日14:00の回)、有料動員数が15名増えるごとに100円をキャッシュバックしてくれるというシステムです(底値:前売1,800円/当日2,100円)。
私はたまたまこの回を前売で申し込み、結果的に500円のキャッシュバックを受けることができました。
終演後のロビーでスタッフにチケット半券を提示すると、半分サイズにカットして口をホチキス止めした茶封筒と、パンチで穴開けされた半券を手渡されました。
「柿」のロゴシールが貼られた半サイズ茶封筒のなかには、500円玉がひとつころんと入っていました。
手作りの雰囲気が可愛いので、しばらくのあいだパソコンまわりに飾っておくことにしました。
また、「受付開始は開演の60分前、開場は開演の30分前」は全席自由の小劇場演劇ではスタンダートな時間割ですが、受付を済ませてから開場までの30分間をどう過ごすかがいつも悩ましいところです。
雨風暑さ寒さにあたらず座って待たせてもらえる広いロビーのある劇場はごく稀ですから、どこかで時間をつぶさなければなりません。
開場時刻直前に行けばその心配はないのですが、「喫煙シーンの煙が怖いので後ろの席に座りたい(呼吸器系が弱いので)」という希望のある私はなるべく早めに受付をして早い整理番号をもらうことにしているのです。
(煙の心配さえなければ前のほうで観たいのですが……もっとも、柿喰う客は主宰が煙草を吸えない体質とのことなので煙の懸念度は低いのですが、それでも念のため早めに行きました。)
こういうときは、まず本屋さんをさがします。
王子小劇場の場合は、北本通りをはさんで劇場入り口と向かいあっている書店「ブックス王子」に立ち寄ります。
この日も店内をひと回りしたあと、ヤ○ザが出版社の再建に乗り出す『とせい』が面白かった今野敏の警察小説シリーズ(新潮文庫/参照)が平積みになっているのを発見、「どれから読もうかな……」とぱらぱらめくっていたところ、店主(?)らしき男性が「これが最初に出たやつ、次がこれ、で次がこれね。このあとにもう1冊出たんだけどそれは売り切れちゃった。」と親切にアドバイスしてくれました。
アドバイスに従い、第1作『リオ』を買いました。
下町の劇場ならではの、楽しい待ち時間を過ごすことができました。

べきら観劇日:
2008年6月26日木曜日昼の部

上演時間:2時間15分(休憩なし)
※小劇場にしては長い上演時間でした。
上演時間告知と「お手洗いは今のうちに」という案内は、ほとんどの劇団が開演直前の前説で行うことが多いですが、今回は開場直後から場内誘導の女性スタッフが何度も声をあげて告知と案内をしてくれたのがたいへん親切だったとおもいます。
(上演時間についてはアフタートークで観客から質問がありました。アフタートークレポはこちら

【物販】
上演台本500円
※↑A4/30P/クリップ止め
製本されていませんが、ビニール袋に入れてあるのでばらばらになる心配はありませんでした。
缶バッジ(価格未確認)
プログラム販売なし

【当日パンフレット】
B5/8P
中屋敷氏による「ご挨拶」
登場人物/配役
(↑演出助手・加藤槙梨子氏による辛口似顔絵イラスト、役名のふりがな、キャラクターのひとこと説明がありがたいです。登場人物が18名と多いうえ、オリジナルの役名――「瀬戸際切羽詰丸」など――が複雑で耳で聞いただけでは覚えきれない役もありましたので。)
スタッフ表
スペシャルサンクス先一覧
関係者今後の活動予定
リピーター割引のお知らせ
(↑チケット半券持参で2回目は800円で観劇可能。ただし、予約客、当日券客が優先なので満席の場合は入れない可能性あり。)
柿喰う客 今後の予定
(↑次回公演ははやくも2ヵ月後の8月21日から吉祥寺シアターにて『真説・多い日も安心』。この、ファンに淋しいおもいをさせない多作ぶりが好きです。もっとも、↑PPTで主宰は「多作とはおもいません」――←こういうところも男前♪――と断言していましたが。)
劇団員 外部活動情報
(↑今回の『俺を縛れ!』に柿喰う客の看板女優・深谷由梨香さんの出演がなかったのは淋しかったですが、深谷さんは7月4日からの佐藤佐吉演劇祭2008第2弾、smartbakk『Kiss me,deadly』に客演するのですね、楽しみです。)
ボランティアスタッフ募集



ネタバレありレポ
(アフタートークレポはこちら


巨大な切り株のようなメガネのような「∞」状の黒い円盤がふたつ並んだ八百屋舞台が不思議な雰囲気で面白かったです(舞台美術:世多九三)。
傾斜しているうえにふたつの円盤のあいだを渡ったり、高さの異なる段差を昇ったり下りたり、俳優さんの負担は大きいのでしょうが、観ている側はせまい舞台に大勢が登場しても位置や動きに細かなバリエーションがあるので「混んでる」感がなくてよかったとおもいます。
舞台中央の、高さ2メートルはありそうなお立ち台からこの傾斜舞台にジャンプして着地する玉置玲央さんの迫力には目を見張りました。
お立ち台の下の玉すだれ状鎖カーテンから顔をのぞかせるとき、登場人物の顔が恐ろしくなるのは人の本質をみようとせずに一方的な判断を下すときの心の表情なのかもしれません。
円盤のあいだに少しだけ見える水平床面の、赤と黒のバイヤス市松模様が綺麗でお洒落でした。
天井から無数に下がる鎖を、なにかどうかして動かしてくれるのかな、と期待したのですがそれはありませんでした。

時代劇ときくと剣殺陣好きな私は期待してしまうのですが、オープニングの豪雨のなかの殺陣シーンの緊迫感にはおもわず身を乗り出しそうになりました(殺陣:佐野 功)。
羽織袴姿に剣を構えた堀越 涼さんの、ぴたりと決まった姿の安定感……本家・花組芝居ではもっぱら美しい女形さんなので、なかなかお目にかかれない凛々しい侍ぶりにほれぼれしてしまいました。
おぉ、これは本格的剣劇か!とおもいきやこのシリアス冒頭シーンは本編とは無関係に独立したもので、以降は怒涛の妄想エンターテイメントに突入していくわけですが、その本編の殺陣もダンス風味の軽快さとスピード感でそれはそれで楽しみました。
コロさん演じる加羅廻宮(からまわりのみや)、佐藤みゆきさん演じる大岡忠光がそれぞれユニークな武器で刀を持った男と立ち回りをするのが楽しかったです。

佐藤みゆきさん(こゆび侍)は『飛ぶ痛み』で恋人の痛みを引き受けたはいいけれどやはり痛いのはつらくて……という伯方幸子を演じた人だったのですね、配役表をじっくり読んで同じ人と知って驚きました。
幸子は登場最初からずっと悲痛な表情でしたが、今回はきっぱりした男役でとてもかっこよかったです。
王子小劇場の四方の壁と天井がびりびり震えるようなセリフの声の力強さと、歌声のキュートさの落差に感心してしまいました。

堀越さんとともに花組芝居から客演の丸川敬之さんの歌声も、強そうなお顔(失礼)には意外な甘い優しさで素敵でした。
丸川さんの正式入座公演『かぶき座の怪人』でも歌シーンがあったのを思い出しました。

小劇場劇団の時代劇の楽しみは工夫とアイディアの衣装にもあるのですが、今舞台では「ケバい将軍側室」お幸の方の衣装が梨澤慧以子さんの可愛い色っぽさとよく合っていてよかったです(衣装:浅利ねこ/劇団銀石)。
前結びの帯がフェイクファーなのと、おもいきりよく裾を端折ったその下から覗くピンクの絵羽柄(?)網タイツにどきどきしました。



<追記>2008-08-19
花組芝居のファンクラブ会報に堀越さんと丸川さんによる『俺を縛れ!』レポが掲載されています。
柿喰う客独特の稽古法にとまどう丸川さんの様子などが面白いです。
カラー舞台写真が5枚掲載されています。
ほとんど全員唱和の歌シーン、刀をかまえた堀越さんと丸川さんの対決シーンが貴重です。

「花組通信 第五十二号-燕去月号-」(平成20年8月5日発行)
P4
堀越・丸川合同企画
『俺を縛れ!』について
ノープランで話してみようの会~!イェ~イ!
※↑原文に忠実に転記しました。

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