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舞台『ある結婚の風景』

斬新で実験性に富んだ演劇世界を果敢に創造し続けるTPT(シアタープロジェクト・東京)(公式サイト)の作品は、観るたびに知的興奮を与えてくれます。

染色工場の跡に出来たベニサン・ピットの荒削りな劇場空間は、ここが東京でも日本でもないような気持ちにさせる独特の遮断力を持っていて、開幕前、あのペンキが剥げかかったような椅子に座って高い天井を見上げるたびに、今度はどんな手を使って異空間に連れて行ってくれるのだろうとわくわくしてしまうのです。



世界的な映画監督の巨匠、イングマール・ベルイマンが1973年にスウェーデンのTVシリーズとして発表したある男と女の結婚と離婚の物語で、当時は社会現象となるほどの注目を集め、スウェーデン国内では離婚が急増したそうです。

3時間近くのほとんどを夫婦の会話だけで占めて飽きさせず、充実したマラソンレースを見通した気分になりました。

『スペインの芝居』(TPT64/2007年10月/公演情報)のときのように、舞台奥にむき出しに寄せ集めて置かれた家具や椅子や絨毯をその都度運び出して舞台中央にセットし、その場面が終わるとまた奥に運び戻す進行方法が目を楽しませてくれました(『スペインの芝居』では俳優さん自身が運びましたが、今回はスタッフによる搬出入でした)。

それにしても、欧米の旦那さんはたいへんだなあ、とおもいました。

常に夫婦ふたりでの行動を求められるのもしんどそうですし、なによりも天宮 良さん演じる夫・ヨハンが仕事で疲れていようが朝の起きぬけだろうが村岡希美さん演じる妻のマリアンヌの呼びかけ――別に今じゃなくてもいいでしょうに、という内容だったりします――に必ず返事をしてあげて、(表面的にだとしてもとりあえず)話しを聴いてあげ、しかもなにかしらの対応をきちんと言語化して返してあげるのにほとほと感心してしまいました。

ほとんど会話などしているように見えないのに結果的に家庭生活はまあまあ円滑に進み、なぜかコミュニケーションもそこそことれている(実態は、母がほとんどすべてを掌握し、望ましい方向に進むべく巧みに父を遠隔操作している)自分の両親を見ていると、ヨハンが逃げ出したくなるのも無理はないのではとおもってしまうのですが、それは滅び行く昭和の価値観であり、日本もこれからはヨハンとマリアンヌのような欧米型の「相手と真正面から向き合う」男女関係が本流になっていくのかもしれません。

結末は、30年前のスウェーデンにも昭和の日本にも(おそらく将来の日本にも)通じる男と女の姿でした。

結婚を考えている恋人同士では観に行かないほうがいいかもしれませんが、すでに結婚している人にはとても興味深いのではないかとおもいます。



TPT65
『ある結婚の風景』
2008年3月5日水曜日~16日日曜日(全17ステージ)
公演情報
ベニサン・ピット

作:イングマール・ベルイマン
台本:広田敦郎
演出:鈴木裕美

全席指定6,000円
学生3,000円 ※TPTにて取り扱い

べきら観劇日:
2008年3月13日木曜日

上演時間:2時間45分(15分間の休憩1回を含む)

【物販】
プログラム700円

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