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『戊辰残照』舞台写真―修理さまの紋―

ひとつの劇団の公演を継続的に観るようになると、過去公演の記憶が蓄積されていくことで比較の楽しみができるようになります。
取り上げる題材、原作、テーマの違いを味わうほかに、劇団の花形的存在の俳優さんはもちろんとして、それ以外の俳優さん達の顔と名前を覚えることで、公演ごとの役柄の変化や成長ぶりを観察するという楽しみもふえます。
先日千秋楽を迎えた劇団め組の2007年8月公演『幕末シリーズ 会津篇・戊辰残照』(8月3日金曜日~5日日曜日/紀伊国屋サザンシアター/べきらふぁいるレポ→)は、2001年の初演以来6年ぶりの再演とのことでした。
ちょうど一年前、昨2006年の8月公演(『ASSASSIN(アサシン) 彰義隊後日譚』)から同劇団を観始めた私には初演との比較という楽しみ方は残念ながら叶わないわけですが、『ASSASSIN~』→『KUGUTSU傀儡~忘れ得ぬ面影の総司』→『鬼夜叉(やはり再演/初演は2006年)』とこの1年の公演を観続けてきたことで、徐々にめ組ワールドを深く味わえるようになってきました。

一昨日8月15日水曜日、申し込んでおいた『戊辰残照』の舞台写真50枚が送られてきました。
毎ステージ終了時に劇場ロビーで販売されたもので、@150円で1枚から申し込むことができます(全50種類/送料込み)。
デジタル画像全盛の時代ですが、紙焼き写真は味わいがあっていいものです。
強烈な日差しが照りつける猛暑の大都会・新宿の劇場に、時間が凍りついたような雪降る会津の光景が出現した舞台世界を、写真を見ながらなつかしく思い起こしました。
(新宿タカシマヤから劇場のあるタカシマヤタイムズスクエアビルへ通じているガラス張りの連絡通路こちらのなかが、太陽光線に熱せられてサウナ状態になるのですよね……これもめ組8月公演の思い出のひとつです。)

50枚の内訳は、俳優さんの単独写真(主にバストアップ)、場面写真、楽屋でのリラックス集合写真などです。
新宮乙矢さん演じる主人公・大庭修理(おおばしゅり)の衣装の家紋が雪の結晶のようなとても綺麗なデザインでぜひ名前を調べたいとおもっていたのですが、全5ステージ観たなかでもっとも近くで観察できたときでも(前から2列目上手よりで、修理さまが私の真正面の舞台端に正座して主君・松平容保公の話を聴いていたシーン)、目を凝らしてもどうしても柄を見て取れなかったのです(2列目でオペラグラスを使うのは気が引けましたので……)。
それが、新宮さんのソロバストアップ写真で羽織の抱き紋がはっきりと写っている1枚が含まれていたのが嬉しかったです(↓後述/もちろん、まず新宮さんの美麗ポートレートが嬉しかったのは当然ですが)。
配役表を数えたところ今回は合計32名が出演しているのですが、単独写真がない俳優さんも3~4名ありました……なかでも石原幸弘さんと池田光栄(みつよし)さんのソロが入っていなかったのが残念です(ふたりともそれぞれの登場場面写真には写っていますが)。
ただ、この販売写真はステージごとに内容が変わっている可能性もありますので、他の回ではこの3~4名の分は売られていたのかもしれません。
石原さんは前回公演『鬼夜叉』では、父親である将軍からうとまれ、弟からばかにされる嫡男の悲哀と屈折を静かな上品さで表現していたのが印象的でした。
今回の薩摩藩士・人斬り半次郎こと桐野利秋(きりのとしあき)は打って変わった男らしさで、とくに降伏式での厳格な雰囲気は迫力がありました。
その一方の、中野竹子被弾のシーンで妹の優子に切りかかる(あるいはちょっかいだそうとする?)軟弱な倒幕派兵士もなかなかよい味でした。
ファンクラブ会報『峠の茶屋』No.20(2007年7月号)によれば、め組の劇団活動のもうひとつの柱である学校上演に出演していた池田さんは、今回の『戊辰残照』が本公演デビューになるようですね(同号インタビュー、配役表コメント、劇団公式サイト内の新宮さんブログなどより)。
学校上演で経験を積んでいるだけあって新人(と表現してよろしいかどうか?)とはおもえない力強さと安定感がありました。
正統派二枚目の面立ちですが、眼に力と色気があるので、悪役好きの私としては凄艶なヒール役を待望します。
池田さんのお姉さんはミュージカル女優でいらっしゃるのですね。
弟の「美声」に着目なさるところがさすがミュージカルの方ならでは、です↓
池田祐見子(いけだゆみこ)さん公式ブログより:http://ameblo.jp/ikedayumiko/entry-10042189638.html

そして、劇団め組におけるわが愛しのお方♪、藤原習作さん(土方歳三役)のソロ写真も洋装、和装各1枚ずつありましたので、陶然と眺め入ったのは申すまでもありません。
め組の新撰組シリーズは昨2006年11月の『KUGUTSU傀儡~忘れ得ぬ面影の総司』が最後とのことでしたので、そのときのふんわりとした白いタイ、黒いコート、ブーツ姿に刀を差した洋装の土方スタイルにはもう逢えないとおもっていたところ、今回おもいがけず再会できたのには驚喜しました。
千秋楽のカーテンコールで、藤原さんがこのスタイルで代表挨拶をしてくれたのが嬉しかったです。
でも、できれば洋装の全身写真も1枚欲しかったな……などとないものねだりをしてしまうファンなのでした。
劇団代表/演出の与儀英一氏のブログに舞台裏での洋装藤原さん画像(ほぼ全身)があります↓
『週刊YOGIDAS』より:
http://yogi.blog24.fc2.com/blog-entry-168.html
※トラックバックしました。

・べきらふぁいる:舞台『戊辰残照』→



↓公演内容のネタバレ含みます
め組公演の主役を毎回務める看板俳優・新宮乙矢さんの涼やかな美男ぶりには、その華麗な殺陣とともにいつもうっとりと見惚れてしまいます。
彼のために用意される毎公演ごとの華のある衣装もまた大きな楽しみです。
『ASSASSIN~』の豪華な打掛を羽織った姿や、『KUGUTSU』の振袖・裾引き姿はとても優美でした。
今回の『戊辰残照』での大庭修理の衣装は、クライマックスの純白シーンまでは黒っぽい無地感覚の羽織袴という地味さで、修理さまのストイックさと孤高さを表しているようでした。
その地味な衣装の唯一の飾りが↑上述の羽織に白く咲く花のような家紋だったのです。
クライマックスへの連想から雪のようにも見え、たくさんの星のようにも万華鏡のようにも見えました。
もしかしたら創作されたものかしら、とも想像していたのですが、舞台写真を手がかりに家紋関連サイトをさがしたところ、「輪宝紋(りんぽうもん)」という器物紋にとてもよく似ているのを発見しました。
銘木札文字彫工房 彫り屋様サイトより:
http://fruits.jp/~monkichi/kamon-3-rinpou.html

輪宝とは古代インドの想像上の武器で、密教の法具として修験道信者が護持し、車輪から剣が放射されている図柄という、勇ましい紋でした。
遠目にはきらきらと繊細で綺麗に見えたものの、(もし輪宝紋が正解だとしたら)剣豪の修理さまにふさわしい、男らしい紋だったといえます。
配役表兼プログラムの解説文にも劇団公式サイトにも説明を発見できないので明言できないのですが、この大庭修理というのはどうやら架空の人物のようです。
私は幕末や会津藩の知識は深くないのですが、歴史ファンの方々のサイトや会津関連の書籍を数冊読んだところによると、隻腕の剣士・伊庭八郎と、悲劇的な最期を遂げた会津藩士神保修理を混合して作り上げられた人物なのではないかと想像します。
志高く、孤高の生き方を貫いた劇中の修理さまはとても魅力的でありながら家族関係など個人的状況がまったく描かれていないところが謎めいていて、家紋からでもなにか手がかりを探りたくなります。
伊庭家、神保家とも家紋は輪宝紋ではなく、脚本家がなぜ修理さまの紋を輪宝紋にしたのか……会津藩士のなかに輪宝紋を家紋にする家があるかどうか調べればなにかがわかるのかも……このあたりの事情はあるいは『戊辰残照』初演時に衆知になっていることなのかもしれませんが、ファン歴の浅い私には逆に家紋ひとつからでもあれこれ想像をめぐらせるという喜びを得ることができます。
なお写真にはよく写っていませんでしたが、袴の控え目な光沢の入った地紋もまた修理さまの佇まいを平板な地味さに終わらせない立体感があって、衣装センスの高さを感じました。
(衣装は福田明氏――映画『ラストサムライ』エンドクレジットのJAPAN UNITスタッフにある“COSTUME SUPERVISOR AKIRA FUKUDA”と同一人物でしょうか?――と、東宝舞台の川西さつき氏。)
クライマックスの雪のなかの戦いのシーンは、哀切感と美しさが印象的でした。
全身白一色の衣装に黒い笠で顔を隠した新宮さんが上手側の客席通路に現れたとき、劇場中が息を呑む気配がわかりました。
一度だけ上席通路ぎわの席になれた私は、ゆっくりとした足取りで舞台に向かって階段を下りてくる修理さまを20センチの至近距離で見送る幸運を得ました。
目の前を通り過ぎるときによく見ると裃には絹織物特有の布目模様が入っていて、ふっくらとした厚みと張りがありました。
このときの笠に手を添えた修理さまのソロ写真もあって、布目模様もはっきりと映っています。
下からのアングルなので、まさに座席から修理さまを見上げたときの目線なのが嬉しい1枚です。
哀調を帯びた民謡『会津磐梯山』のメロディーが耳に蘇ります。
雪のシーンとしてはこのほかに右腕だけで刀を構える修理さま、膝をついて降る雪を見上げる修理さま、黒装束の討幕軍兵士に取り囲まれる戦闘シーン2枚がありました(うち1枚は、↑石原さんが修理さまの腹部に決定的な突きを与える瞬間です)。
修理さまの純白の衣装は死装束ではあるのですが、同時に会津武士道の高潔さを表してもいるようです。
大庭修理という人物は、滅び行く武士道、ひいては日本人の良心の象徴だったのかもしれません。
満身創痍で絶命したように見えた修理さまがなおも力を発する幕切れは、明治に生き残った会津の人々が辛酸をなめながらも静かな復興を遂げていった(日本の教育界に貢献する人材を輩出するなど)ことに対する賞賛と、日本人の良心を信じたいという劇作家の想いがこめられていたのではないでしょうか。


昨日8月16日木曜日、修理さまこと新宮乙矢さんからの観劇お礼のハガキが拙宅に届きました(め組ファンクラブMegumiClubに入会すると、俳優さんから直筆メッセージの入った便りが届きます)。
舞台上に全出演者がひな壇3列に揃った集合写真ですが、カーテンコールのときのシリアスな表情とは一転した全員笑顔の賑やかさに気持ちが和みます。
最前列中央の白装束の新宮さんも生き返って(!)笑顔です。
その横に寄り添う藤原さんも笑顔……なんだか白無垢の花嫁と新郎、親族勢揃いの婚礼写真みたいで微笑ましいですね。

会津武士道 侍たちは何のために生きたのか

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