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舞台『I See i』(アイシアイ)レポ

劇団スタジオライフの奥田努(おくだ・つとむ)さん、小野健太郎(おの・けんたろう)さんの外部出演舞台。

ふたりはつい先日7月9日(日)に舞台『トーマの心臓』大千秋楽を大阪で迎えたばかりで、わずか10日の猶予ののち新作舞台に立つというハードスケジュールでしたが、熱く密度濃い芝居をきっちり見せてくれました。



SLEEP第二回公演『I See i』
2006年7月21日(金)~23日(日)
神楽坂die pratze
全席自由(約100席)
前売2,500-
当日2,800-
上演時間:約90分(休憩なし)

・SLEEPサイト:
http://www.sleep-wakes-u-up.com/
※公演二日目の22日(土)、サイト内に掲示板が開設されました。主演女優・新田絵美(にった・えみ)さんからの書き込みもあります。

・die pratzeサイト:
http://www.geocities.jp/azabubu/

べきら観劇:
2006年7月23日(日)
昼の部
中央ブロック6列目(上手サイド)

作・演出:島田政輝

キャスト:
新田絵美―カナタ
奥田努―ナツセ
小野健太郎―ハル
中島徹(なかじま・とおる/メタリック農家)―アキヲ
薄井央美(うすい・ひろみ)―ユキ



4人の男女の愛の交錯と現状打破の物語。
そこに孤立した立場を貫くもうひとりの男が加わることで、愛は収束し、新たな世界へ出て行く者と取り残される者に別れる。



↓ネタバレ



ハル(小野さん)はふたりの女性(カナタ、ユキ)に愛され、カナタはふたりの男性(ハル、ナツセ=奥田さん)に愛される。

ナツセの想いはカナタに受け入れられず、
ユキの想いもまた、ハルに拒絶される。

ナツセ、ユキのふたりの心に芽生えるどす黒い感情をアキヲが増幅させ、ハルをだまし撹乱することで愛し合うハルとカナタの仲を引き裂こうとする。

ベニサン・ピットよりもさらに狭い、貸しスタジオでの芝居。

憧れの役者さんの演技を間近で観られる贅沢な機会でした。

黒一色の会場内で、白く塗られたスノコを敷き詰めた四角いスペースが舞台。

つまり、客席と舞台との段差はスノコの厚みわずか数センチのみ。

舞台を囲む三方の客席の最前列はいずれも床置きクッション席、しかも舞台の端との距離は1メートルもないので、ここに座ったお客さんは役者の身体が触れそうなくらいに近かったです。

この舞台のへり三辺には、天井から床まで細いロープ状のものが隙間のあいた玉のれんのように垂れ下がっていて(一辺につき10本くらい)、このロープのれんが舞台と客席の結界になるとともに、登場人物達が閉じ込められている檻のような心理的閉塞状況の象徴となっていました。

小野さんのハルが目隠しをされてナイフを闇雲に振り回す場面などは、客席に倒れこむのではないかとはらはらしてしまいましたが、このロープに当たる感触が目安になっていたようです。

幕開けは、男女4人の関係を物語るダンスともパントマイムともとれる動きから。

互いの足を擦り合う仕種が扇情的。

ダンスはこの幕開けと、途中に女性ふたりの互いへの疑念を象徴したパフォーマンス(もっと観たかったです)があるだけで、大部分はセリフと動きによるストレートプレイでした。

なんといっても、ナツセ役奥田さんの空間支配力に圧倒されました。

自分で自分がコントロールできないほどカナタを愛しているのに、カナタには避けられてばかり。

なぜ?そばにいたいだけなのに、なぜ逃げるんだよ!

ナツセのせつなさが胸をしめあげます。

ナツセが泣くと、ナツセの悲しみがロープ空間を突き抜けて会場中をくまなく満たし、ナツセが絶望のはてに怒りをこみあがらせると、その怨みのエネルギー波が壁にぶち当たって跳ね返るようでした。

べきらが奥田さんを初めて舞台で観たのは2005年12月の舞台『白夜行』第2部・黎(れい)チームでしたが、原作の雰囲気そのままに淡々と事実を積み上げていくようなこの舞台のなかにあって、唯一涙させられたのが、奥田さん演じる少年亮司が、少女雪穂を陰惨な場から救うところでした。

少年亮司が少女雪穂の乱れた服を直してあげる仕種がなんともいたいたしかったです。

しかし、スタジオライフ初見だったべきらはこのときまだ役者さんの顔の区別がつかず、なんと、この少年亮司は大人亮司役の笠原浩夫さんが演じているとおもってしまったのです。

だって、顔がそっくりに見えたのですもの……後に配役表とプロフィール写真を確認してまるで別人だったことに気づいたときには驚きました。

・舞台『白夜行』第2部情報:
http://forum.nifty.com/ftheater/news/2005/51205.htm
※@niftyシアターフォーラム サイトより。晦(かい)チーム、黎チームのダブルキャスト。画像の上から2枚目、白いTシャツを着て座っているのが笠原さん演じる大人亮司(黎)。その下の3枚目画像で、鋏を持つ手を高く掲げているのが奥田さん演じる少年亮司(晦、黎共通)。

・舞台『白夜行』公演情報(第1部、第2部共通):
http://www.cubeinc.co.jp/stage/info/life-byakuya.html
※キューブ サイトより。画像の、コンクリート壁に寄りかかっている男性が笠原さん亮司。

その後、舞台『DRACULA』(2004年上演版)DVDで、ルーシーに恋の告白をしてやぶれるアメリカ人地主キンシー・モリスの奥田さんを観たとき、情感の深い、いい役者さんだな、とおもったのが初めて奥田さんご本人を自覚した印象でした。

最後の思い出にどうかキスを、というキンシーの希望にこころよく応えてくれたルーシーが顔を彼の頬に近づけたとき、カウボーイハットをかぶった奥田さんがわずかに下を向いて彼女のキスを受けるとともに、自分の顔を帽子のつばで隠すようにしたそのほんの少しの仕種から、キンシーの哀しみがふわりと立ちのぼるように見えて、心に響きました。

・舞台『DRACULA』公演情報
http://www.cubeinc.co.jp/stage/info/life-dracula.html
※キューブ サイトより。Aチーム(LATITUDE)、Bチーム(LONGITUDE)のダブルキャスト。奥田さんのキンシーはBチームに登場。↑トップ画像はAチームのドラキュラ伯爵、笠原浩夫さん。

・舞台『DRACULA』DVD情報:
http://www.cubeinc.co.jp/dvd/review/dracula.html
※キュービットクラブ サイトより。

先日の舞台『トーマの心臓』で大抜擢の主役ユリ・スモールが素晴らしかったことは、インターネットに寄せられた多くのファンの方々の賞賛の言葉が証明しています。

・舞台『トーマの心臓』公演情報:
http://www.cubeinc.co.jp/stage/info/life-toma.html
※キューブ サイトより。Aチーム(ゼーレ、)Bチーム(レーベン)、Cチーム(フリューゲル)のトリプルキャスト。奥田さんのユーリはBチーム。なお、小野さんは男子寄宿舎で同室の愛すべき5人組生徒のひとり(役名:リーベ)として3チームすべてに登場。

スタジオライフ9月公演『夏の夜の夢』でのディミートリアス役ではどのように空間を染め上げてくれるのか、大いに楽しみです。

きらきら眩しいように綺麗な小野さんが、奥田さんと同じYチームでパックを演じるのもまた注目です。

・劇団スタジオライフ サイト:
http://www.studio-life.com/
※2006年7月19日に次回公演『夏の夜の夢』の公演情報とキャスト情報がupされました。Yチーム(Yippee!)とWチーム(Wow!)のダブルキャスト。なお、複数のスタジオライフファンの方々のブログを拝読すると、↑公演情報トップ画像の腕組みをした夢見る眼差しの人物は、小野さんらしいです。

パワーのある女性ふたり、そして今回のキーパーソン・アキヲ役の中島徹さんも気になる存在でした。

甘くソフトなマスクのなかに狂気が内在しているアキヲが印象的でしたが、ほかの4人とのバランスを考慮したのか、かなり抑制した演技だったのが惜しい感じもしました。

もう少しアキヲの怖さを見せてもらいたかったです。


・中島徹さんプロフィール
http://www.metanou.com/abouttoru.htm
※所属劇団メタリック農家サイトより
(同サイトDIARY内、劇団主宰葛木英=くずき・あきら女史による『葛木英の女王日記』に『I See i』千秋楽開演前の会場付近の様子がレポされています――「今行列に並んでます」2006.07.23.――)

http://www.highlegjesus.jp/tower/talent/nakajima.html
※所属事務所ハイレグタワー サイトより

・神楽坂die pratze情報:
http://www.lasens.com/gekijo/kagurazakadiepratze.html
※小劇場データベースLa Sensサイトより。複数の照明さんのコメントに「ブース内が暑い」「客席も暑くなる」とありますが、ヒナ壇の上の席はたしかに暑かったです。じっとして動かない観劇中は身体が冷えがちなのでいつものように長袖ジャケットで防衛していましたが、汗だくになりました。でも、終演後にヒナ壇下に降りたらひんやり冷たかったので、クッション席の方は寒かったかもしれません。

コメント

精力的に舞台詣でをなさっていらっしゃるようで、うらやましいです(*^^*)
お財布が許さない私にとってはこちらの「べきらふぁいる」で楽しませていただけるのが慰めというもの。

そうですか。『白夜行』も舞台化ですか。メディアミックスともてはやされた現象はすでに20年前。今や「ひとつのヒットをみんなでおいしく」のカタチは常態と化しているのですね。まあ作る方はそれぞれに差別化しなければならず、たいへんだと思いますけどね。

そして『DRACULA』!
ブラム・ストーカーの原作を、名翻訳家・平井呈一氏が訳した小説は、函装がいい雰囲気を出してる創元社・世界大ロマン全集版『魔人ドラキュラ』が私のお気に入りですが、数年前には文庫で『吸血鬼ドラキュラ』と題を変えて完訳も出ました。もちろんこれも平井氏の訳でしたが、前者昭和31年の初訳、後者平成10何年の新訳の差は、やはり前者の、今となっては古風な日本語の方により浪漫(と漢字で書いて見る)を感じた次第です。
あとはなんと言ってもヴァン・ヘルシング博士をかのアントニー・ホプキンス(レクター博士!)が演じた映画版がビジュアルの白眉と思ってます。原作とはぜんぜん違っちゃってる筋ですが、何しろ博士がツボで(^_^;
やはり舞台なり映画なりの映像化ならば、すばらしい俳優を使ってほしいものですよね。
日本で吸血鬼といったら岸田森!と確信する私ももはや古風の仲間入りでしょうか。。。

>辰巳さん
ようこそお越しくださいました!
記念すべき初コメントをいただきまして、たいへん嬉しく、光栄です。

『白夜行』は今年2006年1月から3月までTBSで放映されて評判になりましたが、その「下調べ」のために前年の2005年12月に舞台版(第2部)を見に行ったべきらは、笠原浩夫さんの亮司に強烈な印象を受けるとともに、スタジオライフという素晴らしく魅力的な劇団と出会うことができました。

オバケ、ホラー、怪奇怨霊などがとにかく苦手なため(ちなみに、オバケ抜きの単なるスプラッターとか「先端」とかはわりと耐性ありです)、これまでの生涯でこの分野の映画、テレビ、舞台は避けて生きてきたのですが、どうしても笠原さんのドラキュラを見たくなってDVDを購入、指の隙間からのぞくようにしてコワゴワ視聴したところ、亮司に引き続いてその毅然として悲哀と孤独をたたえた姿にぞっこん魅了されてしまいました。
スタジオライフ版ドラキュラはあくまで美しく、「牙」と「血」が使われていない点にも安心しました(ルーシーのネグリジェは例外的に血染めでしたが)。
翻って辰巳さんご推薦の岸田森さん版吸血鬼の情報をウェブ検索したところ、その貴族的風貌への高い評価はいまや伝説と化しているのですね。

・アマゾンDVD情報:
『呪いの館 血を吸う眼』
http://www.amazon.co.jp/gp/product/B0007N33J0/250-2318145-2697813?v=glance&n=561958
※岸田森さん出演。画像がやっぱりコワいです……

『ドラキュラ』
http://www.amazon.co.jp/gp/product/B00005M922/250-2318145-2697813?v=glance&n=561958&s=dvd
※ゲイリー・オールドマン、アントニー・ホプキンス出演

平井呈一氏訳による創元推理文庫版『吸血鬼ドラキュラ』もさっそく購入しました。
表紙がコワかったらどうしよう……とおっかなびっくり書棚から出したところ、十字架の絵柄だったのでほっとしました。
ドラキュラがこれほど壮大な文学作品であったとは、恥ずかしながら初めて知りました次第です。
おかげさまでまたひとつ、世界が広がりました。
これからもどうぞこの『べきらふぁいる』を見守っていただきますよう、どうぞよろしくお願いいたします。

・アマゾン情報:
『吸血鬼ドラキュラ』
http://www.amazon.co.jp/gp/product/4488502016/250-2318145-2697813?v=glance&n=465392&s=books
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