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舞台『戊辰残照』

「武士道」が静かなブームだそうです。
衣食足るどころか金さえあればすべてが手に入り、目下は目上を敬わず、指導してくれるはずの年長者が自信を失って若い者に媚びへつらう今の世の中をみると、人は価値観の「軸」になるものがなければ心のコントロールを失ってしまうのだとおもいます。
主君への忠節、夫を尊敬する妻、親に感謝する子、大義を重んじる男……平成の現代ではほとんど死滅しかかっているかつての日本の潔(いさぎよ)い価値観が、真夏の紀伊国屋サザンシアターで期待通りにきっちりと再現されていました。
そして、それだけで終わらせていないところに劇団め組の独自性を感じ取りました。
誰もが迷いやいらだちを感じている現代にあって、すっきり筋の通った武士道を礼賛する芝居をすればとりあえず大方の観客は同意を寄せてくれることでしょう。
私は『戊辰残照』初演(2001年)を観ていないので初演と比較して論じることはできませんが、劇的な会津落城ののちに、藤原習作さん演じる土方歳三が、武士道が消滅したあとに来る「未来」を語ったセリフに2007年の今、作家・合馬百香氏が訴えるメッセージを読み取りました。
生き続けていくことはつらく、人の争いは止むことなく、その流れは実に今日まで連らなって状況はなんら変わっていないのですよね。
社会制度が根幹から変わってしまった今となっては、どんなに憧れても、私達は再び武士道に生きることはできないのです。
よりどころになる支柱のないまま、それでも暗中模索して生きていかなければならないのですよね。

時代劇を主テーマにする小劇場が数多く存在するなかで、劇団め組が異彩を放つのは眼に耳に快いサブカルチャー的エンターテイメントに流れることなく、堅実で独自の演劇世界を作り続けているところにあるとおもいます。
大胆でスピーディ、きめこまやかで繊細、綺麗な鳥が舞うような新宮乙矢さんの殺陣も存分に堪能しました。
隻腕の剣法――とくに抜刀して構えるところ――が斬新で超絶かっこよかったです。
今回は歴史に殉じる男達の芝居なので前回公演『鬼夜叉』のような藤原さん・新宮さんの艶めいた絡みはありませんが、それでもこのベスト・カップルのファンを喜ばせる「触れ合い」のシーンをちゃんと用意してあるところがまため組の心憎いサービス精神の表れと納得した初日の夜なのでした。
心憎いといえば、劇団ファンクラブMegumiClubを通じてチケットを申し込むと、チケット送付時に毎回「座席表」のコピーを同封してくれるのがとても親切だとおもいます。
座席表は劇場サイトで確認もできますが、誰もがインターネット環境にあるわけではありませんし、とくに今回のように前方2列を撤去した独自の配置(実質は「3列」が最前列)の場合など、とくに前方席の熱心なファンにとっては「心構え」ができることでしょう。

開演前のロビーには「会津」の幟(のぼり)が林立し、公演の配役表とは別に、JR東日本、東武鉄道などによる会津旅行のパンフレットとうちわが入ったビニール袋が配られました。
配役表を折らずに持ち帰るのにこのビニール袋が便利でした。
パンフレットに掲載されている史跡の写真や解説が芝居のイメージを膨らませてくれますが、なかでも財団法人 会津若松市観光公社が作成した鶴ヶ城のパンフレットが小ぶりながら資料としてとてもよくできています。
入場料(高校生以上の大人500円、小中学生150円)や開館時間が記載されていることからみると、実際に鶴ヶ城で観光客に配られているものかもしれません。
同パンフレットによれば、戊辰戦争で1ヵ月におよぶ篭城の末に開城した鶴ヶ城は、明治7年に取り壊されたのち1965年(昭和40年)に復元され、来年2008年秋には「戊辰戦争140年記念展」が開催されるそうです。
旅行の楽しみとは縁遠い私ですが(その時間を観劇に捧げたいので)、これは行ってみたいな、という気持ちになりました。



劇団め組
『幕末シリーズ 会津篇 戊辰残照』
2007年8月3日金曜日~5日日曜日(全5ステージ)
紀伊国屋サザンシアター

作:合馬百香
演出:与儀英一

全席指定5,000円
学生席2,500円
※学生席は劇団のみの扱い

べきら観劇日:
2007年8月3日金曜日夜の部(初日)
<↓観劇日追記>
2007年8月4日土曜日昼の部
2007年8月4日土曜日夜の部
2007年8月5日日曜日昼の部
2007年8月5日日曜日夜の部(千秋楽)

上演時間:2時間15分(休憩なし)

【物販】
舞台写真@150円×50種類(後日郵送)
プログラム販売なし



・劇団公式サイトによる公演情報:
http://www.yogipro.co.jp/works/hannosyou/aizu2007.html

・シアターガイド サイトによる公演情報:
http://www.theaterguide.co.jp/search_result/paid/006312.html

・劇団公式サイトによる『戊辰残照』初演情報:
http://www.yogipro.co.jp/works/hannosyou/aizu02.html

・武士道ブームについての記事(ヨミウリ・オンラインより):
http://job.yomiuri.co.jp/news/jo_ne_07050810.cfm(2007-05-08)
※読売新聞社はヨミウリ・オンライン個別記事へのリンクを了承していないため、記事URLの表示にとどめています。

・べきらふぁいる:『戊辰残照』舞台写真―修理さまの紋→

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