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舞台『実験』

第二次世界大戦、化学兵器、人体実験、軍部の元幹部が戦後に設立した製薬会社の繁栄――重く厳しい歴史をモチーフにしていますが、開演前の前説ではフィクションであることが強調されました(この前説がえっ!と驚くほどの豪華さですので、これから観劇される方はどうぞ早めに入場されますように)。
たしかに、残酷な史実を暴露することよりも、悪のかたまりのような元幹部が無意識下で自分をどう裁くかの心理に重点が置かれていました。
とにかく、元幹部役橋爪 功さんの艶があって魅力的なことはどうしたものでしょう!――若づくりの若々しさではなく、月並みな表現ですが年齢を重ねたゆえの素敵な若々しさとはこういうことなのだとしみじみ実感しました。
いっぱしの口を利く30歳台のジャーナリストなど橋爪さんの「権藤(ごんどう)」にかかればいかにも底の浅い若造に見えますし、自分の才覚で権力を得た男の放つ迫力と風格が圧巻です。
座席数約120の小空間は間近に生々しい観察が可能で、視覚的にはまぎれもなく「オジサマ」でありながら、年の離れた女優さんとの性愛シーンも不潔感は感じられず、私としてはそれどころかむしろ憧憬してしまいました(笑)
素足を見せるシーンでも素肌に年齢感がなく、足の裏の肉付きのふっくらと厚みがあるのにも見惚れてしまいました。
芸達者揃いの共演俳優さんのなか、権藤家の女中(←“お手伝いさん”ではなく、“女中”でした)・郡司(ぐんじ)役の岡本瑞恵さんが印象深かったです。
優しくて上品で知的、なにか大きな悲しみを抱えていそうでありながら一種の不気味さもある……もしかしたら権藤と郡司の過去になにかがあったのでは、とおもわせるような謎めいた存在感でした。
善を信じようとする作・演出の宋氏の意図を感じながらも、戦争時であろうと平和時であろうと、人間はなんと悪の僕(しもべ)であることかと手鏡を顔の前につきつけられるような想いになりました。
シンプルで乾いた舞台美術によって鳥肌ものの凄惨さが描かれるなかで、雑誌編集長とカメラマンの「笑い」が救いを担当しているのですが、私が観劇した初日二日目はまだ固さがあってかみ合っていない印象でした。
今後公演回数を重ねて、セリフが俳優さん達のなかに入り込めば素晴らしく見ごたえのある芝居になるとおもいます。
なお、私が観た日は三社祭の初日で、劇場周辺の商店の軒先には提灯が吊るされて下町情緒が感じられました。
金曜日は祭りもまだ序盤らしく街中や電車(東京メトロ銀座線)が混雑するようなことはありませんでしたが、週末(19、20日)は人出を予想したほうがよいでしょう。

演劇集団 円
『実験 ヒポクラテスに叛いた男』
2007年5月17日木曜日~31日木曜日
ステージ円

作/演出:宋 英徳

全席指定 一般6,500円 ペアチケット11,000円(2枚1組)
※ペアチケットは劇団扱いのみ

べきら観劇日:2007年5月18日金曜日

上演時間2時間40分(10分間の休憩1回を含む)

【物販】
なし
※配役表、スタッフ表、劇中歌歌詞、作・演出の宋 英徳氏コメント(タイトル「怪獣と僕」)などが掲載された四つ折パンフレットが無料配布されました。


・演劇集団 円による公演情報:
http://www.en21.co.jp/zituken.html

・シアターガイドによる公演情報:
http://www.theaterguide.co.jp/search_result/paid/005866.html

・イザ!(産経デジタルが運営するニュースサイト)による公演記事:
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/entertainment/stage/51509(2007-05-12)

・主演・橋爪 功さんインタビュー
読売新聞2007年5月16日水曜日付け夕刊:731部隊 元幹部役 「実験」橋爪功
YOMIURI ONLINE:
http://www.yomiuri.co.jp/entertainment/stage/theater/20070516et08.htm(2007-05-16)

<マスコミ掲載情報追記>
読売新聞2007年5月23日水曜日付け夕刊:医への背徳 重く鋭く 実験・ヒポクラテスに叛いた男

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