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『Nf3 Nf6』

2007年の『東京裁判』初演で魅了されて以来、ほとんど毎公演観続けてきたパラドックス定数。
染まらず媚びず研ぎ澄まし精査して独自の世界を磨き、実績と評価を積み重ねてきた結果に到達したひとつの頂きのような作品です。

二人芝居連続企画のうちのひとつ。
前半は羽田沖に墜落した日航機の機長と弁護士が警察病院の一室で向かい合う『5seconds』。
(キャストは井内勇希×小野ゆたか)。
後半の今作は、虐待が繰り返される収容所での看守と囚人の物語。
看守は将校、囚人は数学者。
(キャストは植村宏司×西原誠吾)。
タイトルの『Nf3 Nf6』はチェスの棋譜。
Nは駒の一種であるナイトのことなので、「ナイトエフスリー ナイトエフシックス」と読みます。
劇団ブログ・パラブログ整数のこちらに説明。
(チェスはもちろん囲碁将棋麻雀オセロブリッジなどこの種の頭脳ゲームにまったく不案内な私は、『5seconds』観劇のとき野木萌葱主宰が今作紹介で実際にそう発音するのを聞いて内心秘かに感動しました←余談)

PDXには、どこか孤高な雰囲気があります。
冷たいとか閉じているわけではなく、受付スタッフは一般人観客の私にもホスピタリティ高く接しますし、小劇場の人気劇団からの客演も迎えますし、硬派な作風に似合わず野木主宰自らにこやかに客席誘導もします。
パラブログ整数の稽古場日記はじつにまめに更新され、内容はユーモアにあふれ劇団員同士のなごやかさもうかがえます。
(観劇後、稽古場日記に書かれた内容と上演台本を照らし合わせるのはPDX心酔者である私の無上の喜びです←余談その2)
並行してツイッターには公演ごとに登場人物の独自アカウントが登場し、こちらから話しかけるとちゃんと返信してくれたり、ときには先方から話しかけてくれたりもします。
これほどのサービス精神は、やはりより多くの観客に喜ばれたいという希望、劇団として大きくなりたいという(当然の)野心があるゆえでしょうに、どこか飄々として誰からも距離を置くかんじがするのは、これはもう野木さんの人間性なのだろうとおもいます。

奥底のほうに熱いものを持ちながら表面はあくまで冷静に、なかなかそのことを気取らせたがらない気質はPDX作品に通底しています。
静かに求道するような男達。
男女の恋愛沙汰なし。
家族の話、なし。
かっこいいアクションもない。
みんなが知っている笑いがない。
音楽に抒情させない。
つきつめる。

今作は、ついに登場人物は二人きり、です。
正確には再演ですが、劇団が今この作品に至ったのはやはり道の行きついたところのようにおもえます。
シンプルで天井の低いギャラリーの一室。
極端に少ない照明。
停電の場合は懐中電灯で続行するという覚悟の上演。
美しいものがなにもなくなってしまった世界で、美しいチェスで会話するふたりの男。
私の席からは光の当たる西原さんの顔半分と、植村さんの背中のシルエット。
チェスの手元はよく見えずルールもわかりませんが、ふたりの感情は私の全身を満たします。
こういう時間、じつに、私は「生きている」とかんじるのです。
戦争がなければ、数学を高める道を共に歩めたかもしれないふたり。
もしかしたら夢の情報技術は彼らが開花させたかもしれない。
それでも、
結局ふたりは孤独のままだったように私はおもいます。
数学という崇高で残酷な学問に魅入られてしまった以上、どんなに惹かれあっても所詮はひとり。

野木さんの作品を観ていると、近所の男の子達と遊びたくても「お前はオンナだからだめ」と仲間に入れてもらえなかった女の子だったのでは、となんとなくおもえてきます。
女性だから描ける純粋な男の世界。
PDXについて書き出したら、長文癖がとまらなくなってしまいました。
それだけ、好きなのだとおもいます。

↓まだ書きます。
『5seconds』と本作のどちらがよかったか――
甲乙はつけがたいです。
どちらも好き。
もう一度観たいのはどちら?――
どちらも観たい。
それぞれあと最低5回は。
では、どちらかをあと1回だけ観られるとしたら?――
…(悩)


西原さんの色気の分で、本作、です。
あと、もし天地が叶うなら、飛行機の井内さんとチェスの植村さんを入れ替えてそれぞれ観たいです。



パラドックス定数
第25項
『Nf3 Nf6』
2011年3月22日火曜日~27日日曜日
アートコンプレックス・センター
こりっち情報こちらの「動画」に希少な野木さん演出光景とコメントあり)

作・演出:野木萌葱

全席自由
前売2,800円
当日3,000円

べきら観劇日:
2011年3月24日木曜日15:00~

上演時間:1時間40分(休憩なし)

【物販】
上演台本1,000円
過去公演の上演台本@1,000円
オリジナルTシャツ2,000円(西原誠吾さんがデザイン)


【当日パンフレット】
B5/2Pモノクロ
配役表
STAFF
MEGAPHONE 次回作、劇団員客演情報※
MONOLOGUE 野木さんが作品を表すひとこと。
MEMORY 野木さんの芝居の書き方。本作が「見えた」瞬間。
BOOK 参考文献
※『5seconds』を4月3日日曜日に昼夜2ステージ追加上演。
東北関東大震災の影響で観られなかった人の救済がメイン。
振替についての詳細は劇団サイトに。
次回公演は第26項『トロンプ・ルイユ』8/10(水)~8/14(日)中野・劇場HOPE。
「騙し絵」というタイトルの「少しだけお洒落な犯罪物語」←仮チラシより。
出演はPDX劇団員4名+客演常連の加藤敦さんと生津徹さん。
次々回第27項(タイトル未定、新作書き下ろし)の出演者募集ワークショップオーディション情報も。
27項上演場所はあの魅力空間、渋谷SPACE EDGE!
応募詳細はやはり劇団サイトに。
後説で主宰が(WS募集対象は)「男性のみ、です」「かかってこい、というかんじで」と(←笑)


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『トップ・ボーイズ』

ゲイカップルの結婚を祝うパーティに歴史上有名な9人のゲイ達がやってくる前半――
そのカップルの現実生活を描く後半――
という2部構成の作品です。
関根信一さんのたっぷりな愛に浸りました。
チラシに記載された手がかりによれば9人のゲイ達は外国人が多いようでしたが、私は「戦国時代の若武者」に興味津々。
武田信玄の家臣・春日源助がその人でした。
日本人としてはあとひとり三島由紀夫が参加。
オスカー・ワイルド、ハーヴェイ・ミルクなどそれぞれが自分の人生を語ります(9人の名は↓に)。
差別、虐待、射殺とつらい人生を歩んだ彼達ですが、最後には「自分は幸せだった」と作家は語らせます。
同性愛ゆえに逮捕され「毒殺された」イギリスの数学者アラン・チューリングを演じたますだいっこうさんの静かで満たされた語り口が胸にせまりました。
欧米に比べれば(同性愛に対して)ゆるやかな日本ですが、源助にはライバルの存在がありました。
それでも、信玄の言葉を後世に伝えられたことが幸せだと表明します。
このおおらかな受容感が、私が関根作品に惹かれる要因なのです。

後半では、現代のカップルは結婚式をあげることができます。
歴史上のゲイ達に比べればはるかに恵まれた状況なのに、ふたりの気持ちは結局すれちがってしまいます。
異性愛の行き着く先のむなしさに肩を落としがちな身としては男性と男性の結びつきに憧憬してしまうのですが、埋められない溝はいかんともしがたいのでした。
クライマックスでふたりが真情をぶつけ合うシーンが、演技とはおもえない渾身の迫力でした。
陽樹(はるき)役の羽矢瀬智之さんと鷹雄役の久米靖馬さんに拍手。



劇団フライングステージ
第35回公演
『トップ・ボーイズ』
2010年8月5日木曜日~15日日曜日
下北沢OFFOFFシアター
公演情報
CoRich情報

作・演出:関根信一

全席指定
予約・前売 3,500円
ペアチケット 6,500円(予約・前売のみ)
トリプルチケット 9,000円(予約・前売のみ)
当日 3,800円(開場と同時に発売)

べきら観劇日:
2010年8月10日火曜日19:30~

上演時間:約2時間(休憩なし)

【物販】
上演台本 1,000円

【当日パンフレット】
B5/4P一色
・関根信一さんによる「ごあいさつ」
・登場人物
・人物についての注
・Next Stage
・Cast Information
・Staff



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『新明治仁侠伝』

↓「好きなセリフ」追記しました。2010-08-14



ツイッター@bekirraより(旧→新)

・#mninkyo 新・明治仁侠伝(劇団サイト)、新明治仁侠伝(チラシ、チケット)、新 明治仁侠伝(FC会報)…正しい公演タイトル表記はどれなのでしょう?細かいところが気になるのは元・編集の職業病が抜けていない?仁侠といってもヤ○ザものではないのですよね。 #gmeg
2010年07月18日(日)14:35:19

・#mninkyo 初日まで1週間をきった劇団め組『新明治仁侠伝』。こりっちの観たい!が11人に。好きな劇団に新しい人達が観に来てくれるのはとても嬉しいこと。 http://stage.corich.jp/stage_hope_detail.php?stage_id=20818
2010年07月30日(金)13:22:56

・#mninkyo 午前9時アメブロのメンテナンス終了を待って新宮乙矢さんのブログへ。明日8/4初日の『新明治仁侠伝』ロビーで『岡田以蔵』2009年版DVD販売の朗報!め組が公演DVDを一般販売する貴重な機会。 http://ameblo.jp/ippongatana #gmeg
2010年08月03日(火)11:27:56

・#mninkyo 劇団め組「新明治仁侠伝」初日観ました。武士の美意識のなかに失われた日本人のよさを描くところから、復讐の連鎖を断ち切る視点への重心移動が新鮮。若手が滅びを、ベテランが未来を表現。所作と殺陣はさすが #engeki
2010年08月04日(水)

・今夜の酒は美味しいです。まず、こころ躍るいい作品だったから。そして、今夜新しい花形が誕生し、同時に前の花形がより魅力的になっていたから。ひとつの劇団を継続して観ていく喜び。できることは1枚のチケットを買う、それだけ。め組『明治仁侠伝』 #mninkyo #gmeg #engeki
2010年08月04日(水)

※それぞれのつぶやき文の最初や最後についている#mninkyoや#engekiなどの文字は「ハッシュタグ」と呼ばれるもので、この記号をつけた世界中の人々のつぶやきをまとめて検索・表示するための記号です。



明治維新から10年、恵まれない境遇に堕ちた旧士族達の失意と不満がうごめく江戸の遊郭。
明治新政府がおきざりにした彼らの武士としての誇りが、居場所を求めて噴出する――
1995年の初演から今年2010年で5回目の上演となる劇団の代表作。
私は初見です。
2006年『ASSASSIN 彰義隊後日譚』から毎公演観るようになったこの4年間でも、キャストが刷新されているのがよくわかります。
合馬百香戯曲が表現する「(武士という)滅びていく価値観」への愛惜と、それでも健気に生きていく人間への応援が若手とベテランの清々しい混声合唱になっていました。

やはり明治維新後の日本が舞台である現在公演中の井上ひさし作『黙阿彌オペラ』(私は7月22日昼に観劇)のなかに「御一新(=べきら注:明治維新)は大がかりなお家騒動、それもてんでなってないお家騒動。」という主人公の狂言作者・河竹新七のセリフがあります。
おきざりにされた民衆へのおもいが、日本の演劇への井上さんの愛情につながる言葉でした。
同じく大切にしてきた自分の在り方の「芯」を全否定された士族に、合馬さんが寄せる慈愛と、もしかしたら羨望(武士として生き、消えて行くことへの)とをかんじる舞台でした。

藤原習作さんが格段に素晴らしいです。
二役のうち岩倉具視は弾むような華と艶があり、もう一役の坂本龍馬のおおらかさが劇場中を包み込みます。
龍馬のラスト近くのセリフは、こののち大戦へつきすすむ愚を悲しみながらも日本人を愛する合馬さんのおもいであり、第二次大戦後の戦犯をあつかった次回作『“Ps”』(2010年11月/吉祥寺シアター)へのつながりをかんじさせるものでした。
め組の看板・新宮乙矢さんが、今回は意外な印象でした。
主役としてはもちろん、脇にまわっても抜群の安定感と力強さが舞台を支えていた(たとえば『LADY椿 鹿鳴館狂詩曲』の中井桜洲よかった)新宮さんですが、今回はその強さに大久保義明という人物への(あくまで私の場合)心入れを阻まれてしまうようにかんじるのです。
でも、そんな姿を観るのもまた、ある意味で「楽しい」とおもえるのです。
いつもつけ入る隙のなかった演技に、揺れるものがあるのを観られた、というやや倒錯的な喜びを味わいました。

チラシに顔が登場している若手4人はどの人も好演。
とくに、初日から2ステージ目にみちがえるほどよくなりました。
秋本一樹さんはスケールが大きさ、裂ぱくの熱情がよかったです。
入木純一さんは沈潜する難しい役どころですが、狂四郎という人物の「核」は(これは初日から)きちんと体現していました。
とくに、義明への感情、出自への誇りは抑制のなかでもちゃんと伝わりましたし、不遇の旧藩への貴種としての言葉には感涙でした。
もっとも好きなセリフは義明とふたりだけのときのあの……これはネタバレになるのでまた後日に。↓追記あり
合馬百香作品は珠玉のような言葉にあふれていて、上演台本が欲しい!と毎回熱烈におもいます。
2回目は髪型とメイクもよくなり、新たな花形にふさわしい色気が回を重ねるごとに急成長していくとおもいます。
衣裳の裏地と半襟の色が若さによく映えていました。
手堅い印象だった菅原貴志さんがジェンダーをまたぐ役で楽しませてくれました。
劇団サイトの過去公演動画にある牡丹(動画では習作さん)と狂四郎(同・新宮さん)のときめきシーンが素敵な2010年版になっていましたね。
井上真一さんはますます男ぶりがあがってかっこよくなり、習作さん命♪の私もおもわず浮気してしまいそうでした(笑)
段差の多い危険なセットのなかで、め組十八番の効果音に頼らない華麗な剣殺陣を実現してくれました。
上記4人以外の若手としては、三太役河本博志さんの愛嬌が救いになっています。
三太もまた維新による不幸を負っているのですが、そのことをにこにこした笑顔の奥に秘めて出さないのがよかったです。
あと、登場時間は少ないながら玉城誠さんの桐野利秋の気魄が光りました。

高橋佐織さんと武田久美子さんのすそ引きのきもの姿、うなじ、所作が美しいです。
これもまた滅んでしまった日本の美という財産だとおもいました。
松本具子さんと稲垣納里子さんのふたりは未来への希望の象徴でした。
大切だとおもっていた生き方を否定されるというのは、現代にもあることです。
その意味では時代劇でありながら実は今を写した作品でした。
たとえば年長者を年長者であるというそのことによって敬う、お金優先の生き方にどこか恥ずかしいものをかんじる、などの昭和的考え方で育った私は、今の社会にとまどいを覚えざるを得ません。
ひとつの価値観が消滅しても、それでも根を張って堅実に生きていく小菊(松本さん)と茜(稲垣さん)ふたりの勇気には大いにはげまされました。

制作・演出助手塚原舞さんを筆頭にした、新人劇団員たちによる誠実味あふれる受付も気持ちいいです。

め組公演に関する当ブログの過去記事が増えたので、別ブログでリンク集をつくりました。
自分の検索用に非公開にしていたのですが、このたび公開します。
ブログタイトルは初めてめ組を観た作品のクライマックスシーンからとりました。

紅葉坂-MOMIJIZAKA-
(2010年8月7日公開→※その後公開休止中)



劇団め組
『新明治仁侠伝』
2010年8月4日水曜日~8日日曜日
吉祥寺シアター
CoRich情報(トラックバック送信、失敗しました。安定反映はいつになったら……)

作:合馬百香
演出:与儀英一

全席指定
平日 4,500円
土日 4,800円

べきら観劇日:
2010年8月4日水曜日19:30~(初日)
2010年8月5日木曜日14:30~
<↓観劇日追記>
2010年8月7日土曜日14:30~
2010年8月8日日曜日17:00~(千秋楽)

上演時間:2時間10分(休憩なし)

【物販】
舞台写真@150円×70種(後日送付)
『岡田以蔵』DVD 1,500円
Tシャツ@2,500円×4柄(サイズ:S・M・L・LL/色:黒・グレー・白)

【当日パンフレット】
A4/4Pカラー
滅びる士族、矛盾をはらむ明治、とまらない歴史を歩いていく日本をかんじさせる写真がよいです。
いっぽう、「資料」の基本である公演期間と劇場は記載してほしかったとおもいます。
また、め組の当日パンフレットの良心的特色だった「幕構成」が今回記載されていないのは非常に残念です。



「好きなセリフ」追記しました。2010-08-14


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『少年口伝隊一九四五』

ツイッター@bekirraより(旧→新)
・「故井上ひさし氏から渡されたバトン」新国立劇場演劇研修所から第4期生による朗読劇『少年口伝隊一九四五』DMが届。今年は7/30、31の2ステージ。戦争作品を上演する演劇人はぜひ! http://bit.ly/ahs070
2010年06月14日(月)15:58:35

・『少年口伝隊一九四五』がはやめに終演したので初台駅からどこにも寄り道せずまっしぐらに帰宅。途中、今夜の隅田川花火大会によるものとみられる混雑はまだみかけませんでした。16時頃東京北部の地元駅に着くと、浴衣姿の娘たちが三々五々改札に入っていきます。気をつけて楽しんでいらっしゃいね♪
2010年07月31日(土)17:40:05

・井上ひさし作朗読劇『少年口伝隊一九四五』一昨日7/31昼観ました。人間の理不尽と正対しよう、という作者の呼びかけが新国立劇場演劇研修所研修生14名の身体から聞こえました。新国は2ステのみ。当日パンフによれば8/4板橋区立文化会館で上演あるもよう #engeki #kangeki
2010年08月02日(月) 06:02:22



原爆投下後のヒロシマの街で、印刷できない新聞の代わりに口頭でニュースを伝える「口伝隊」(くでんたい)となった少年3人の物語です。
家を失った者は洞窟を掘って住むように、など現場の惨状を理解しない県や国の通達を少年達は命じられるままに無邪気に伝えてまわります。
しかし敗戦とともにそれまでの態度を180度豹変させて占領国アメリカに媚びる様子を見せ始めたおとな達に、少年達は強い疑問と怒りをおぼえるようになります。
少年達は原爆で家族を失っているので、疑問を哲学者の老人にぶつけます。
作者・井上ひさし氏を投影させた老人は、声の大きい勢力にひきずられる人間の弱さを彼らに説きます。
やがて少年のひとりに原爆症の症状が。
そこへ戦後最大級の台風がヒロシマと少年達を襲います。

新国立劇場演劇研修所に学ぶ研修生によって演じ継がれている朗読劇です。
2008年2期生によって初演、今年は4期生が演じます。
私は昨2009年の3期生上演版が初見、今年で2回目の観劇です。
亡き井上さんのおもいを若い研修生の身体に植えつけて未来に伝えるという演出・栗山民也さん(演劇研修所長でもある)の強い意思が前回よりも一段と強く感じられました。
昨年の今頃井上さんは存命だったとおもうと感慨がこみあげます。
三人の少年役安藤大吾さん、 扇田森也さん、竹田雄大さんが溌剌としていてよかったです。
哲学老人は若い人には難しい役だとおもいますが、Cho Yonhoさんの思慮深さと品に重みがありました。

当日パンフレットに記された佐藤真希さん(アメリカ合衆国出身)の「井上ひさし氏の言葉を日本人として、そしてアメリカ人として伝えたいです。」が強く残ります。



新国立劇場 演劇研修所
朗読劇『少年口伝隊一九四五』
2010年7月30土曜日~31日日曜日
新国立劇場小劇場
公演情報
こりっち情報

作:井上ひさし
演出:栗山民也

全席指定
A席2,000円
B席1,500円

べきら観劇日:
2010年7月31日日曜日13:00~(千秋楽)
※30日夜に初日、31日昼が千秋楽の2ステージ上演です。

上演時間:60分(休憩なし)

【物販】
井上ひさし氏著書(『井上ひさし全芝居 その六』『一週間』)
ギタリスト宮下祥子さんのCD

【当日パンフレット】
B5/6Pカラー
※昨年の当日パンフをみたときもおもったのですが、キャスト紹介に「役名」を記載してほしいです。
全14名が横1列に並ぶので、今回下手の席だった私には上手の俳優の顔がよくわかりませんでした。
また、キャスト紹介欄の写真と実際の舞台で髪型が変わってしまうと、顔は似てるけどほんとうにこの人かな?と自信がなくなってしまいます。
新国立劇場サイトの公演情報でも発見できませんでした。
パンフ印刷時に全配役が決まっていなかったのだとしたら、ペラ1枚で配役表を別に作ってほしいです。
当日パンフレットはおおげさにいえば「演劇史の資料」だとおもいます。


井上ひさし全芝居〈その6〉



一週間










参考:『朗読劇 少年口伝隊一九四五』の稽古場ブログ

『元気で行こう絶望するな、では失敬。』

ツイッターより(旧→新)
・パラドックス定数より次回公演『元気で行こう絶望するな、では失敬。』DM着。ひとり東京鎖国の西の行動限界をいよいよ吉祥寺シアターから三鷹星のホールへ延伸します。北はさい芸、南はBankARTが境。東は昔ベニサン・ピット、今はシアターカイ。 http://www.pdx-c.com/
2010年05月18日(火)13:50:33

・パラドックス定数『元気で行こう絶望するな、では失敬。』チケット本日6/8届きました。と、つぶやいてもどこからか登場人物がフォローしてくることはもうなさそうですね。消滅した前回公演アカウントは今や伝説 http://www.pdx-c.com/tokusetu/22/22.html
2010年06月08日(火)20:57:51
※その後、この方に気付きました!http://twitter.com/dazaio

・パラドックス定数『元気で行こう絶望するな、では失敬。』本日6/26昼観ました。こんなパラ定初めて!という開幕の斬新さ。遅刻は惜しいです!本編は広大な空間の隅々までパラ定の真髄である(と私が勝手に思っている)情愛が行き渡りました。台本1,000円 #engeki #kangeki
2010年06月26日(土)21:32:03

・パラドックス定数『元気で行こう絶望するな、では失敬。』読み解こうとする客席の集中度の高さ。呑まれて野木萌葱氏がさりげなく織り込んだフリーク狂喜の隠し味を不覚にも通過。あれ?いまなにか言った?帰路気付いたときは購入した台本を空に放り上げたくなりました(笑)その時に反応したかった!
2010年06月26日(土)21:44:47

・たいへん貴重なパラドックス定数主宰・野木萌葱さんの演出光景あり。黒スーツではない。『元気で行こう絶望するな、では失敬。』公演中の三鷹市芸術文化センターロビーでも再生されていました。→ http://www.youtube.com/watch?v=XKQgM-vUZc8
2010年06月27日(日) 13:17:01

・パラドックス定数『元気で行こう絶望するな、では失敬。』でもらったチラシ類をみていたら、井内勇希さんが黒色綺譚カナリア派『悪役志願』8/20~に客演するのを発見。西原誠吾さんも今里真さんも7月8月と夏の盛りに客演。暑さに弱いので夏は観劇を減らしたいというのに……
2010年06月28日(月) 09:48:37

・パラドックス定数『元気で行こう絶望するな、では失敬。』動画第二弾はバックステージ(劇団ブログより)。野木萌葱主宰のリラックス姿が貴重。脱・黒ジャケット。女子高版却下に激しく賛同。おとこ芝居万歳! http://bit.ly/ctpdvX
2010年06月29日(火)07:58:52

・パラドックス定数『元気で行こう絶望するな、では失敬。』公演後半ですね。もう一度会いたい、八城高等学校生徒二十名→ http://stage.corich.jp/stage_photo_list.php?stage_id=17393
2010年07月01日(木) 13:24:27


小さな劇場や隠れ家的スペースで、数人の男達による東京裁判や三億円事件や銃器密造などの濃密な世界を上演してきたパラドックス定数が、大きなホールで20人(すべて男優)を登場させて太宰治の世界を描きます。

太宰という作家をよく知らなくても(私のように)十分楽しめます。
太宰ファンの方にはどこが太宰なのか発見する楽しみがあるとおもいます。
パラドックス定数十八番の密着感の代わりに、広大な空間と大勢の男達を広すぎにも多すぎにもかんじさせない野木萌葱主宰の巧みな演出を堪能できます。

感想はこりっちの観てきた!やfringeの東京小劇場観劇速報に複数の方がupされていますのでとりあえずは周辺的なことを。
小劇場に興味はあるけれど、ぎゅうぎゅう詰めの空間でいかにも演劇やっていそうな若者に囲まれて暑すぎたり寒すぎたりする空調のなかで観るのはもうこの年齢になるとしんどいよなぁ……とおっしゃるおとなの会社員男性(女性にはもちろん)にお薦めします。
駅からやや遠いこと(徒歩20分、路線バスあり)をのぞけば会場の星のホールは天井も高く広々として圧迫感がありません。
空調も適温です。
椅子は帝劇並みとはいかない折りたたみですが、座ぶとん3枚重ねに配慮がうかがえます。
客層は男女半々、年齢は若い人から中年層までさまざまです。
個性の強い小劇場のなかでもパラドックス定数はわが道を行く独自路線が際立っている団体です。
笑いはありますがおふざけではなく、文化祭的内輪ウケネタでもありません。
「通」向けのこれぞ小劇場、な作品を好環境で観劇できる貴重な機会です。
スーツ姿の非常に的確で目配りの利くスタッフ男性(たぶんセンターの職員の方?)がいて、おとなが安心できる対応をしてくれます。

初めて行った星のホールは緑のなかにあるこじんまりしたいい劇場でした。
私は雨の三鷹駅南口からタクシー利用、ワンメーター710円5分でした。
近すぎるかな、とおもったので「芸術文化センターいいですか?」と乗るまえに背中をかがめて訊いたら「ど~ぞ乗ってください、遠慮しないでいいんですよ~」という楽しい運転手さんでした。
(いま時あからさまな乗車拒否はないでしょうが、バスがありますよといわれたらそうするつもりでした。)
「今日はゲーブンでなにかあるんですか?」「ええ、3時から太宰の演劇が」「あ~100年ですもんね」とお話しながら到着。
車寄せはないので歩道を横切るのに一瞬雨にあたります。
なので終演後も待ちタクシーはいませんので、帰りはバスを利用しました。
スタッフが正面玄関前に立ってバス亭の場所を教えてくれました。

幕開けが圧巻です。
どうか遅刻なさいませんよう。



パラドックス定数
『元気で行こう絶望するな、では失敬。』
2010年6月25日金曜日~7月4日日曜日
三鷹市芸術文化センター 星のホール
こりっち情報(トラックバック送信、またもや反映されず)

作・演出:野木萌葱

全席自由
前売 2,800円
当日 3,000円
※受付開始は開演の60分前から。
建物に入ってすぐ正面に受付があります。
受付後に列に並び、開演30分前になるとスタッフの先導で入場します。
星のホールってどこにあるのだろう?とおもいながら並んでいたら、受付のすぐ横がホール入り口でした(建物を正面にみると左側)。
階段を昇り降りしたりエレベーターを利用することなく同フロアを歩いてすぐホールに入れます。
ホール内にもトイレがありますので(5~6室ありきれい←女性用)、席を決めてからでも大丈夫です(芸術文化センターのトイレも利用できます)。
ホール内で飲み物販売ありました(コーヒー300円ほか)。
ソファと長机あり。

べきら観劇日:
2010年6月26日土曜日13:00~

上演時間:1時間50分(休憩なし)

【物販】
台本 1,000円(終演後ロビーで販売)

【当日パンフレット】
B5/2P モノクロ
・出席番号順キャスト紹介
・STAFF
・MEGAPHONE(次回公演)
・MONOLOGUE(どこが太宰かだれが太宰かがわかる野木さんのひとこと)
・MRMORY(なぜ高校生か、太宰のどこに注目したかなど、野木さんのおもい)
・BOOK(参考文献はこの世に多数あるとおもいますが「野木さんがこれを読んで作品を作った」のがポイント。)
※このほかにB5ペラのMONOLOGUE1枚配布。出演者の今後の予定。

プロフィール

べきら

Author:べきら
観劇の記録です。

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